第25回日本経済新春杯

第25回日本経済新春杯：悲劇の結末と不滅の伝説

1978年1月22日、京都競馬場で開催された第25回日本経済新春杯は、数々のドラマを生んだ忘れがたいレースとして競馬史に刻まれています。このレースは、前年の有馬記念で年度代表馬に輝いたテンポイントの海外遠征前の壮行レースとして、大きな注目を集めました。

さらに、天皇賞（春）優勝馬エリモジョージも出走。2頭の天皇賞馬が顔を合わせる豪華なメンバー構成も話題を呼びました。しかし、レースは予期せぬ悲劇に見舞われることになります。

レース展開と悲劇

テンポイントは好スタートを切り、レース前半は先頭集団を形成。エリモジョージやホースメンホープら強豪馬との激しいデッドヒートが繰り広げられました。3コーナー手前ではテンポイントとエリモジョージがトップ争いを展開。しかし、4コーナーでテンポイントが故障。そのまま競走を中止せざるを得ない状況に陥りました。

テンポイントのまさかの故障により、レースは大きく展開を変えます。最終的には、ジンクエイトが優勝。福島勝調教師にとって管理馬の重賞初勝利となりました。2着にはビクトリアシチー、3着にはマチカネライコーが入線しました。

テンポイントの最期

競走中止したテンポイントは、重傷のため予後不良と診断されました。安楽死も検討されましたが、多くの競馬ファンからの熱い要望により、治療が続けられることになります。 手術は成功し、ファンからは励ましのメッセージや贈り物などが届きました。しかし、その後テンポイントは蹄葉炎を発症。懸命な治療も虚しく、1978年3月5日、惜しまれつつもこの世を去りました。

レースの意義とその後

第25回日本経済新春杯は、テンポイントという偉大な名馬の悲劇と、それを悼む人々の思いが深く刻まれたレースとして記憶されています。このレースは、競走馬の命の尊さ、そして競馬ファンと馬との強い絆を改めて認識させる出来事となりました。

少頭数ながらも、ホースメンホープ、タニノチェスターなど、後に重賞勝ちを収める馬も多数出場。9頭中7頭が重賞制覇という、質の高いメンバーが揃っていました。テンポイントの負担重量は66.5キロと、当時でも非常に重いものでした。

当日の天候は雪、馬場は良。14時55分に発走。レースは第9競走として行われました。なお、このレースは多くの文献で「日経新春杯」と表記されていますが、正式名称は「日本経済新春杯」でした。「日経新春杯」への改称は翌年からとなっています。

テンポイントへの追悼

テンポイントの死は、多くの競馬ファンに大きな衝撃を与えました。彼の功績と、その短い生涯は、今もなお多くの人の記憶に鮮やかに残っています。1983年には、テンポイントを特集したVHSビデオ『不滅の名馬 テンポイント』がリリースされ、このレースの映像も一部収録されています。ただし、テンポイントの故障シーンは途切れているとのことです。

このレースは、結果だけでなく、その背景にあるドラマ、そしてテンポイントの生涯を通して、競馬というスポーツの本質、そして人々の馬への愛情を改めて考えさせられる、重要な一戦となりました。

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