第26回ベルリン国際映画祭

第26回ベルリン国際映画祭：1976年の激動と映画史に残る騒動

1976年6月25日から7月6日にかけて開催された第26回ベルリン国際映画祭は、その国際的なラインナップと、ある作品を巡る騒動によって映画史に名を刻むこととなりました。

国際色豊かなコンペティションと金熊賞受賞作

例年以上に多様な国籍の作品が集まったコンペティション部門。その中で、金熊賞の栄冠に輝いたのは、ロバート・アルトマン監督による西部劇『ビッグ・アメリカン』でした。アルトマン監督の独特な視点と演出が評価されたと言えるでしょう。他の受賞作品にも注目が集まりました。銀熊賞には、『Baghé sangui』(Parviz Kimiavi)と『Azonosítás』(László Lugossy)が選ばれ、審査員特別賞はフィリペ・カラルスの『Canoa』、監督賞はマリオ・モニチェリの『Caro Michele』、そして男優賞と女優賞にはそれぞれGerd Olschewskiとヤドヴィガ・バランスカが輝きました。

センセーションを巻き起こした『愛のコリーダ』

一方、フォーラム部門で上映された大島渚監督の『愛のコリーダ』は、その過激な性描写が大きな波紋を広げました。上映直後、警察によってフィルムが没収されるという前代未聞の騒動が起こり、大きな議論を呼びました。この出来事は、映画表現の自由と検閲の問題を改めて問いかける契機となりました。映画祭の開催期間中、そしてその後も、この作品の賛否両論は大きく報道され、社会的な議論を巻き起こしました。

審査員：国際的な視点が集結

映画祭の審査員は、世界各国から著名な映画関係者が選出されました。監督、脚本家、批評家など、それぞれの分野の第一人者たちが集結し、多角的な視点から作品を審査しました。その顔ぶれには、イェジー・カヴァレロヴィチ（ポーランド）、ギュオルギ・ダネリア（ソ連）、Márta Mészáros（ハンガリー）、Wolf Hart（西ドイツ）、フェルナンド・マコテラ（メキシコ）、マージョリー・ビルボー（イギリス）、ミシェル・シマン（フランス）、寺山修司（日本）、バーナード・R・カンター（アメリカ）、ハンネス・シュミット（西ドイツ）、Guido Cinotti（イタリア）らが名を連ねています。彼らの評価は、受賞作品に大きな影響を与えたことは間違いありません。

上映作品：多様なジャンルの競演

コンペティション部門には数多くの長編映画が上映されました。それぞれの作品が異なる文化や視点、表現方法を示し、国際映画祭らしい多様性を示していました。（邦題がない作品については原題と英題を併記）。

まとめ：映画史に刻まれた第26回ベルリン国際映画祭

第26回ベルリン国際映画祭は、『ビッグ・アメリカン』の受賞や『愛のコリーダ』の騒動など、数々の出来事を経て、映画史に記憶されることとなりました。この映画祭は、映画表現の自由、検閲、そして国際的な映画交流について、改めて考えるきっかけを与えてくれたと言えるでしょう。 受賞作品、審査員、上映作品リストといった詳細な記録は、後の映画研究においても重要な資料となっています。

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