愛のコリーダ

『愛のコリーダ』について

『愛のコリーダ』は、1976年に公開された日本とフランスの合作映画であり、監督は大島渚です。この作品は、昭和11年の東京中野を舞台に、吉田屋という料亭で恋に落ちた男女の激しい愛欲を描いています。出演者には藤竜也と松田暎子が名を連ね、彼らの演じるキャラクターは、禁断の愛を体現する存在となっています。

映画の背景

本作は日本初のハードコア・ポルノとして大きな話題を呼びました。また、題名の「コリーダ」は、スペイン語で闘牛を意味し、フランス語のタイトル「L'Empire des sens」は日本文化についてのロラン・バルトの著作に由来しています。特に昭和史に名を刻む「阿部定事件」を題材に、男女の愛欲の極限が描写されています。大島監督は、神代辰巳監督の『四畳半襖の裏張り』から多大な影響を受けたと語っています。

あらすじ

映画は、吉田屋の主人、吉蔵（演：藤竜也）と、料亭の女中である阿部定（演：松田暎子）との出会いから始まります。定は一目で吉蔵に恋をし、吉蔵もまた彼女に惹かれます。二人は次第に密かに愛を深める一方、周囲に関係が知られると、吉田屋を飛び出し、待合に入り浸って愛欲の日々を過ごします。二人の関係は次第に激化し、互いの首を絞めることで快感を高めることが日常化。それが仇となり、定は吉蔵を殺す決意に至ります。

キャスト

• - 吉蔵 - 藤竜也
• - 定 - 松田暎子
• - 吉田屋のおかみ トク - 中島葵
• - その他の出演者には、阿部マリ子、三星東美、殿山泰司などがいます。

主な性描写

本作は、性的シーンが多く含まれており、特に藤と松田の演じるキャラクターは無修正で描かれています。日本では元々、これらのシーンは大幅に修正された文学作品として上映されましたが、2000年には完全ノーカット版がリバイバル上映され、さらに2009年にはアメリカのクライテリオン社から無修正のBlu-rayがリリースされています。

受賞歴と影響

『愛のコリーダ』は、2017年にはカンヌ国際映画祭で4K版が上映され、2021年には国内でも新たな2Kの修復版が公開されました。映画はその衝撃的な内容から、長年にわたり議論の的となっており、セクシャリティや愛の在り方について深く考察させる作品として評価されています。

事件と裁判

この映画に関連して、脚本と宣伝用写真集がわいせつ文書図画に該当するとされ、監督と出版社社長がわいせつ物頒布罪により起訴されました。最終的に、一審と二審は「当該書籍はわいせつ物に当たらない」との判断を下し、無罪となる歴史的な裁判となりました。

『愛のコリーダ』は、映画史における重要な一作であり、愛の形、欲望の捉え方、そして社会の倫理観など、様々なテーマを投げかける作品として記憶されています。

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