第26回社会人野球日本選手権大会

第26回社会人野球日本選手権大会は、1999年（平成11年）10月9日から10月17日にかけて、大阪ドームを舞台に開催されました。この大会は、当時の社会人野球界を取り巻く状況を反映し、例年とは異なる様相を呈しました。

大会の大きな特徴として、夏の都市対抗野球でベスト8に進出したチームの中から、優勝した東芝を含む6チームが予選で敗れる波乱がありました。これにより、過去10回以上出場しているような常連チームが7チームにとどまり、代わりに5チームが初出場を果たすなど、本大会には新鮮な顔ぶれが多く揃いました。社会人野球界における世代交代や勢力図の変化を感じさせる大会となりました。

また、この時期に進められていたNTTグループの大規模な再編も大会に影響を与えました。NTT東日本やNTT西日本以外の各地域にあった多くの硬式野球部が解散やクラブチームへの移行を余儀なくされる中で、クラブチームとして再出発したNTT西日本九州硬式野球倶楽部が、クラブ化後初の大会出場を果たしたことも注目されました。

トーナメントを勝ち上がり、決勝に進出したのは、豊富な投手陣を擁する松下電器と、持ち前の長打力を武器とするシダックスでした。緊迫した展開となった決勝戦は、シダックスが松下電器を打ち破り、チーム創設からわずか7年目にして、念願の全国初優勝を飾りました。一方、第6回大会以来の優勝を目指した松下電器は、惜しくも準優勝に終わり、雪辱を果たすことはできませんでした。

大会終了後、活躍した選手たちには様々な賞が贈られました。最高殊勲選手賞には、優勝チームであるシダックスの内野手、田中善則選手が選出されました。敢闘賞は、準優勝の松下電器から捕手の九鬼義典選手が受賞。打撃賞には、シダックスの外野手、ビクトル・メサ選手が輝き、首位打者賞は打率.667という高打率を残した神戸製鋼の内野手、上羽功晃選手が獲得しました。

また、大会期間中に特に優れたパフォーマンスを見せた選手たちは、大会優秀選手（ベストナイン&日本代表候補）として以下のように選出されました。

投手
萩原康（シダックス）
吉井憲治（シダックス）
鈴木学（小西酒造）
愛敬尚史（松下電器）
野村昌裕（神戸製鋼）
捕手
門奈雄虎（JT）
九鬼義典（松下電器）
坂田精二郎（シダックス）
一塁手
上羽功晃（神戸製鋼）
二塁手
西岡隆一（松下電器）
津野裕幸（シダックス）
三塁手
田上朋寛（松下電器）
田中善則（シダックス）
遊撃手
諏訪聖二（シダックス）
瀬戸博之（JT）
大森章弘（日本IBM野洲）
外野手
井上大（松下電器）
入江崇宏（シダックス）
原野優（JT）
上中芳仁（小西酒造）
広畑大輔（日本IBM野洲）
指名打者
ビクトル・メサ（シダックス）

この大会では、記録面でも特筆すべき出来事がありました。JTは1回戦で1試合チーム最多となる3本の三塁打を放ち、続く2回戦では全員安打を達成しています。小西酒造の鈴木学投手は1回戦で毎回奪三振を記録し、シダックスの諏訪聖二選手は大会記録となる10個の盗塁を決めるなど、個々の選手の活躍も際立ちました。

第26回社会人野球日本選手権大会は、チーム編成の変化やNTT再編の影響を受けた過渡期の中で、シダックスの初優勝という新たな歴史が刻まれた大会として記憶されています。

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