第33回都市対抗野球大会

第33回都市対抗野球大会

1962年（昭和37年）の夏、7月28日から8月5日にかけて、東京の後楽園球場を舞台に第33回目の都市対抗野球大会が開催されました。

この大会では、大津市の東洋レーヨンが大会史上最長となる13年連続出場を果たすなど、9チームが連続出場を果たし、安定した強さを見せました。一方で、地方予選では波乱も多く、例年にない展開から5チームが初めて本大会のグラウンドに立つこととなりました。新旧の実力チームが顔を揃え、熱戦が期待されました。

大会を通じて最も注目を集めたのは、前年優勝チームである横浜市の日本石油でした。日本石油は、エース佐々木吉郎投手を擁し、圧倒的な投手力で勝ち進みます。佐々木投手は、この大会で合計43イニングを投げ、1点も許さないという驚異的な記録を樹立しました。これは、大会史上最長の無失点記録として、その投球術とスタミナが高く評価されました。

日本石油の強さは投手陣全体に及び、なんと大会の全ての試合で相手チームに得点を許さないという偉業を成し遂げました。これは、大会史上2チーム目となる全試合完封による「完全優勝」という快挙です。この圧倒的な戦いぶりで、日本石油は都市対抗野球史上5チーム目となる大会連覇を達成しました。この日本石油による連覇は、自らが2013年の第84回大会で再び達成するまで、実に51年間もの長きにわたり、他のチームが成し遂げることができなかった記録となりました。

大会史に刻まれたもう一つの特筆すべき出来事は、1回戦で行われた大阪市・電電近畿対東京都・ニッポンビールの一戦です。この試合は両チーム一歩も譲らない投手戦、守備戦となり、延長に次ぐ延長の末、大会記録として今も破られていない延長22回という壮絶なロングゲームとなりました。試合時間も5時間27分を要し、これも大会史上最長記録です。電電近畿の永易将之投手は、この試合で一人で21回と3分の1を投げ、270球という大会史上最多の投球数を記録しました。この歴史に残る激闘は、電電近畿が勝利を収めました。この試合ではニッポンビールの太田選手が本塁打を放つなど、最後まで白熱した展開が繰り広げられました。

大会の決勝戦は8月5日に行われ、日本石油と名古屋市・日本通運名古屋（大会期間中に新三菱重工からチーム名を変更）が対戦しました。この試合も日本石油の佐々木投手が相手打線を抑え込み、見事優勝を果たし、2年連続4回目の黒獅子旗を獲得しました。3位決定戦では、日本通運名古屋が川崎市・いすゞ自動車と対戦し、いすゞ自動車が勝利しています。

大会終了後、活躍した選手たちには各種の個人賞が贈られました。最も活躍した選手に贈られる橋戸賞は、日本石油の完全優勝を投手として支えた佐々木吉郎投手に輝きました。準優勝チームの中から選ばれる久慈賞は、日本通運名古屋の鬼頭忠雄投手が受賞しました。そして、最も印象的な活躍をした若手選手に贈られる小野賞は、日本石油の今西良雄左翼手が受賞し、優勝チームから複数の受賞者が出る結果となりました。

第33回大会は、日本石油の圧倒的な「完全優勝」と連覇という記録的な結果に加え、歴史的なロングゲームや数々の名場面が生まれ、都市対抗野球の歴史に深く刻まれる大会となりました。

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