第34回
日本選手権競輪は、
1981年に
千葉競輪場を舞台に開催されました。この大会は、前年の
オールスター競輪と競輪王戦を制覇し、3連覇を狙う
中野浩一選手に大きな注目が集まっていました。しかし、中野選手は予選で2着、5着、2着と、思うように勝ち星を挙げられず、決勝進出への不安を残していました。
さらに、中野選手は過去の
日本選手権競輪において、決勝で2着以上の成績を収めたことがなく、この大会との相性の悪さも指摘されていました。当時は、スタート時の位置取りを争うスタンディング(S)争いが主流でしたが、決勝では恩田選手がSを取り、中野選手を前に置く展開となりました。レースが動いたのは、ジャンが鳴ってからです。
後方8、9番手に位置していた高橋選手と久保選手が前に出ようとすると、菅田選手と岩崎選手がこれを叩き潰しました。最終ホーム付近では、菅田選手が先頭に立ち、その番手を巡って高橋選手と岩崎選手が激しく競り合いました。しかし、岩崎選手の押圧により、高橋選手が落車してしまうアクシデントが発生しました。この混乱の中、最終バック付近で4番手に控えていた中野選手が一気に捲りを仕掛け、そのまま先頭でゴールしました。
中野選手は、この勝利で悲願の
日本選手権競輪初優勝を達成しました。また、
1952年の高倉登選手以来となる、史上2人目の特別競輪3連覇という偉業も成し遂げました。このレースは、中野選手の卓越した技術と勝負強さを改めて証明する一戦となりました。
この大会は、
中野浩一選手の偉業達成とともに、競輪史に残る名勝負として、今もなお語り継がれています。