第34回有馬記念

第34回 有馬記念の詳細

1989年12月24日、中山競馬場で行われた第34回有馬記念は競馬ファンにとって忘れられないレースとなりました。このレースでは春の天皇賞を制したイナリワンが、秋の天皇賞馬スーパークリークをわずかにかわし、勝利を手にしました。参加した馬は全て数え年で年齢が表記され、レースの様子や記録に残る名勝負が展開されました。

レース前の情勢

有馬記念の前評判は高く、特にオグリキャップの活躍が注目されました。彼は前回の天皇賞（秋）でスーパークリークに2着となり、その後はマイルチャンピオンシップで優勝し、ジャパンカップでも2着に入っています。多くのファンからは、レースに対する期待が寄せられ、ファン投票では歴史的な19万7682票を獲得しました。最終的にオグリキャップは1番人気、スーパークリークが2番人気に支持され、「二強対決」の様相が漂っていました。

出走馬とレース展開

当日は雨が降っており、芝のコンディションは良好でした。レースが始まると、ダイナカーペンターが先頭を維持し、オグリキャップがその後ろ、続いてスーパークリークが4番手で追走しました。オグリキャップが第4コーナーでダイナカーペンターをかわして先頭に立ちましたが、そこでスーパークリークに抜かれてしまいます。ゴール直前でスーパークリークが先行し、このまま勝利するかに見えました。

しかし、残り100メートルでイナリワンが驚異的な追い込みを見せ、スーパークリークをわずかにかわして優勝を果たしました。この興奮の瞬間は、観客の心に深く刻まれています。

結果と記録

レースの上位着順は次の通りです。1着イナリワン、2着スーパークリーク、3着オグリキャップ、4着ダイナカーペンター、5着などが続きました。このレースは、イナリワンにとって歴史的な勝利となり、彼はグレード制導入後初の春秋グランプリ連覇を達成しました。これは、リユウフオーレル、シンザン、スピードシンボリに続く偉業です。

特別なエピソード

スーパークリークに騎乗していた武豊は、オグリキャップとの接戦の経験から、イナリワンが追い込んできた瞬間、思わず「オグリキャップが差し返してきたのかと思った」と後に語っています。この言葉からも、オグリキャップによって築かれた伝説的な存在感を感じさせます。

また、オグリキャップの元管理者である鷲見昌勇は、レース当日パドックでオグリキャップの体調が悪そうだと判断し、イナリワンの状態が優れていることを見抜いていました。レース後、オグリキャップの関係者も疲労が蓄積していたことを認めています。

イナリワンは秋のG1で6着、ジャパンカップで11着といった成績を残しましたが、翌年にはオグリキャップが全く同じ着順を辿るという運命的な状況が展開されます。このレースは、競馬の歴史に新たなページを加えました。

もう一度検索