第35回IBAFワールドカップ日本代表

第35回IBAFワールドカップ日本代表

2003年10月にキューバのサンティアーゴ・デ・クーバおよびハバナで開催された第35回IBAFワールドカップ野球競技大会に出場するために編成された日本代表チームについて解説する。

チーム編成の背景

この大会の開催時期が日本のプロ野球ペナントレースの終盤、そして大学野球の秋季リーグ戦と重なったため、チームは史上初めて社会人野球のトップ選手のみで構成された。プロ選手や大学生の招集が困難な状況下で、社会人野球界から精鋭が選ばれた形となった。特筆すべき点として、かつてプロ野球選手として活躍した経験を持つ吉田浩外野手が、社会人野球選手として日本代表に選出された初の事例となったことも挙げられる。

大会での軌跡

日本代表は予選リーグにおいて圧倒的な強さを見せつけた。

10月12日：対 オランダ 12-2 （7回コールド勝ち）
10月14日：対 フランス 18-0 （7回コールド勝ち）
10月15日：対 中国 16-1 （7回コールド勝ち）
10月17日：対 ブラジル 8-2
10月18日：対 パナマ 10-4
10月19日：対 アメリカ 2-1
10月20日：対 メキシコ 8-6 （延長10回）

特に序盤は3試合連続でコールド勝ちを収めるなど、予選7試合を全勝で終え、危なげなくリーグ1位での決勝トーナメント進出を決めた。接戦となったアメリカ戦や、延長にもつれ込んだメキシコ戦を制したことは、チームの粘り強さを示すものだった。

決勝トーナメントでは、準々決勝で永遠のライバルともいえる韓国と対戦し、これを2対0で破り準決勝に進出した。しかし、準決勝では予選リーグでも対戦したパナマに1対4で敗れ、惜しくも決勝進出を逃した。銅メダルをかけた3位決定戦ではチャイニーズタイペイと対戦し、7対3で勝利。この結果、日本代表は銅メダルを獲得し、大会を終えた。

個人での活躍と表彰

大会では、複数の日本代表選手が個人タイトルやベストナインに輝く活躍を見せた。

特に光ったのが吉浦貴志選手である。吉浦選手は予選リーグのみが対象となる個人タイトルにおいて、本塁打王（5本）と打点王（16点）の二冠を獲得。さらに、大会の最優秀選手賞（MVP）にも選ばれた。これはIBAFワールドカップにおいて日本人選手がMVPを受賞した史上初の快挙であり、その打撃がいかに突出していたかを物語っている。また、外野手部門で大会ベストナインにも選出された。

このほか、草野大輔選手が二塁手部門で大会ベストナインに選ばれており、攻守にわたる社会人野球選手のレベルの高さを世界に示した大会となった。

社会人野球単独チームとしての参加ながら、世界強豪国を相手に予選全勝という快進撃を見せ、最終的に銅メダルを獲得したこのチームの奮闘は、日本の野球界に大きな成果をもたらしたと言える。

関連項目

第35回IBAFワールドカップ

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