第36師団 (日本軍)

第36師団

第36師団は、1939年（昭和14年）2月7日に、日中戦争の泥沼化に対処するため、占領地の警備と治安維持を目的として新設された師団の一つです。同時に第32師団から第35師団、第37師団も新設され、同年6月30日にはさらに第38師団から第41師団が新設されました。これらの師団は、戦局の拡大に対応するための増強策の一環でした。

編成と初期の活動

編成後、第36師団は北支那方面軍・第1軍の隷下に入り、華北での治安作戦に従事しました。他の治安師団と同様に、1939年夏以降、各地で行われた様々な作戦に参加し、占領地の安定化を図りました。しかし、太平洋戦争の勃発と戦局の悪化に伴い、その役割は大きく変わることになります。

南方戦線への転換

1943年（昭和18年）10月、第36師団は南方への移動を命じられ、同年11月5日に海洋編制師団へと改編されました。当初、関東軍所属として対ソ連戦の準備のために満洲への配備が予定されていましたが、太平洋の戦況悪化を受けて、急遽南方戦線への投入が決まります。上海から蘭印のハルマヘラを経由し、西部ニューギニアのサルミ地区に上陸。サルミに司令部を置き、連合軍の上陸に備えて防衛体制の構築に着手しました。

ニューギニアでの戦闘

1944年（昭和19年）5月、ビアク島に上陸した歩兵第222連隊を基幹として、ビアク支隊が編成され、同島の防衛を担当することになりました。しかし、5月27日に米軍がビアク島に上陸を開始し、激しい戦闘が展開されます。当初、ビアク支隊は米軍を撃退するなどの奮戦を見せますが、米軍の反撃を受け、約40日間の戦闘の末、支隊長の葛目直幸大佐が自決し、ビアク支隊は全滅しました。また、4月22日には米軍がホーランジアに上陸を開始し、第36師団は迎撃に向かいました。さらに5月17日には、米軍がサルミ地区東方のトムにも上陸。師団は反転してトムに移動し、迎撃しましたが、戦況は厳しく、連合軍の上陸を許すことになりました。

その後、師団主力もサルミに上陸した米軍と交戦しましたが、戦況は膠着状態となり、小競り合い程度で推移しました。師団は攻撃を断念し、持久戦に移行。将兵は散発的な戦闘を継続しつつ、飢餓とも闘いながら終戦を迎えることになりました。ニューギニアでの戦いは、第36師団にとって過酷なものであり、多くの犠牲者を出しました。

歴代師団長

舞伝男 中将：1939年（昭和14年）3月9日 - 1940年8月1日
井関仭 中将：1940年（昭和15年）8月1日 - 1943年2月28日
岡本保之 中将：1943年（昭和18年）2月28日 - 1943年10月1日
田上八郎 中将：1943年（昭和18年）10月1日 - 終戦

参謀長

田辺助友 歩兵大佐：1939年（昭和14年）3月25日 - 1941年3月1日
今田新太郎 大佐：1941年（昭和16年）3月1日 - 1945年4月7日
二宮義雄 大佐：1945年（昭和20年）4月7日 - 1945年5月24日
今田新太郎 少将：1945年（昭和20年）5月24日 - 終戦

最終所属部隊

歩兵第222連隊（弘前）：葛目直幸大佐（ビアク島で玉砕）
歩兵第223連隊（秋田）：吉野直靖大佐
歩兵第224連隊（秋田）：松山宗右衛門大佐
第36師団戦車隊：藤村忠之少佐
第36師団輜重隊
第36師団通信隊：間瀬三郎少佐
第36師団兵器勤務隊：小枝八五郎少佐
第36師団野戦病院：細矢利次軍医大佐
第36師団防疫給水部：斎藤恒友軍医少佐

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

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