第36期順位戦

第36期順位戦・名人戦

第36期順位戦およびそれに続く第36期名人戦は、将棋界にとって転換期とも言える1978年度に実施されました。順位戦は1976年12月から1978年3月にかけて、名人戦は1978年3月15日から5月19日にかけて行われています。

主催社の変更と制度の調整

この期から、名人戦および順位戦の主催が、朝日新聞社から毎日新聞社へと再び移管されました。これを機に、それまで生じていた名人戦と順位戦の期数の「ずれ」を解消するための措置が取られました。具体的には、過去の順位戦のうち第31期から第35期までが、この期において便宜上省略される形となりました。

また、例年よりも順位戦の開始時期が遅れたため、1977年度には名人戦の七番勝負が実施されず、第36期順位戦は一年以上の長期にわたる期間をかけて進行しました。

「順位戦」名称の一時的変更

さらに、この第36期から第43期にかけての期間においては、「順位戦」という名称が公式には使用されませんでした。当時の名称は、A級に相当するクラスは「名人戦挑戦者決定リーグ戦」と呼ばれ、B級1組以下は「昇降級リーグ戦（1組から4組）」として実施されました。ただし、名称が変更されただけで、棋戦のルールや昇降級のシステムといった実質的な内容は、その後の「順位戦」として知られる制度と大きな違いはありませんでした。第44期以降には、再び名称が「順位戦」に戻されています。本項目では、説明の便宜上、現行の「順位戦」という呼称を用いる箇所もあります。

昇級・降級の規定

当時の昇降級規定は以下の通りでした。

名人戦挑戦者決定リーグ戦（A級）：名人への挑戦権を得る棋士が1名、次期への降級となる棋士が1名選ばれました。
昇降級リーグ戦1組（B級1組）：上位2名がA級へ昇級、下位1名がB級2組へ降級となりました。
昇降級リーグ戦2組（B級2組）：上位2名がB級1組へ昇級、下位4名が降級点を与えられました。降級点が累積するとクラス降級となります。
昇降級リーグ戦3組（C級1組）：上位2名がB級2組へ昇級、下位3名が降級点を与えられました。
* 昇降級リーグ戦4組（C級2組）：上位3名がC級1組へ昇級、下位6名が降級点を与えられました。

第36期名人戦七番勝負

順位戦を経て挑戦権を獲得した棋士と、前年度の名人による七番勝負が行われました。第36期名人戦では、当時の名人であった中原誠と、順位戦挑戦者決定リーグ戦を勝ち抜いた森雞二八段が相まみえました。熱戦の結果、中原誠名人が森八段を相手に4勝2敗でタイトルを防衛しました。

関連事項

第36期名人戦の第三局を取材したNHK特集『勝負 〜将棋名人戦より〜』が1978年5月8日に放送されました。この番組は高い評価を受け、第5回放送文化基金賞のドキュメンタリー番組部門奨励賞を受賞しています。

この期は、主催社の変更、期数の整理、そして名称の一時的な変更など、その後の順位戦・名人戦の歴史において特筆すべき出来事が多く含まれる一期でした。

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