第37回社会人野球日本選手権大会

第37回社会人野球日本選手権大会

2010年（平成22年）10月30日から11月14日にかけて開催された、第37回社会人野球日本選手権大会は、社会人野球の主要大会の一つです。この大会は、京セラドーム大阪を主要会場としつつ、日立市民球場、岡崎市民球場、わかさスタジアム京都、倉敷マスカットスタジアムといった地方球場も一部で使用されました。

大会改革と予選

この第37回大会は、前年から導入が始まった第二次改革に基づき運営されました。改革の柱の一つとして、本戦への出場権をかけた予選システムに変更が加えられています。全国各地で開催されるJABA大会からの出場枠が、従来の9大会から11大会へと拡大された一方で、各地区の最終予選からの出場枠は削減されました。これにより、JABA大会での成績の重要性が増す形となりました。

また、予選における特例も発生しました。ベーブルース杯大会において、プロ球団である中日ドラゴンズ（ファーム）が優勝したため、規定により準優勝チームが所属する地区に本戦出場枠が追加されました。この結果、準優勝の西濃運輸が所属する東海地区の最終予選枠が1枠増加しています。

1回戦の分散開催と結果

観客動員数の増加を目指す試みとして、本大会の1回戦（第1ステージ）全16試合が、京セラドーム大阪を含む4つの会場に分散して実施されました。しかし、大会期間中に台風が直撃し、一部の試合が当初予定されていた週末から月曜日に順延される事態が発生。これにより、当初の目的とは裏腹に観客動員数の減少につながるという、図らずも皮肉な結果を招きました。

2回戦以降の決勝ステージは、従来通り京セラドーム大阪1箇所に集約して行われました。この1回戦の分散開催という試みは、当初翌年の第38回大会（行われれば2011年秋開催予定だった）でも継続される見込みでしたが、東日本大震災の影響により第82回都市対抗野球大会が秋に延期され、さらに日本選手権が中止となったため実現しませんでした。

その後、2012年に2年ぶりに第38回大会が開催されましたが、この大会以降も1回戦の分散開催は行われていません。このため、第37回大会での1回戦分散開催は、結果的に一度きりの試みとして終わることとなりました。

タイブレークの適用

近年の社会人野球では、試合時間短縮や決着促進のためタイブレーク制度が導入されていましたが、この大会ではその適用件数が増加しました。前回の大会ではわずか1試合での適用にとどまっていましたが、今大会では4試合でタイブレークが実施されています。また、同年の夏に開催された第81回都市対抗野球大会でも5試合で適用されており、現場からはタイブレークが適用される基準（要件）をより厳格にするよう求める声が多く挙がりました。

大会結果

大会は順調に進み、決勝戦では大会2連覇を目指すJR九州と、2年ぶりの優勝旗「ダイヤモンド旗」奪還を狙うトヨタ自動車が顔を合わせました。試合は中盤でトヨタ自動車が逆転に成功し、そのままリードを守り切って勝利を収めました。トヨタ自動車はこれにより、2007年、2009年に続く4年間で3度目となる日本選手権優勝を果たしました。

この大会の最優秀選手（MVP）には、トヨタ自動車の岩崎司投手が選ばれています。岩崎投手は大会を通じて3試合に先発登板し、いずれも相手打線を無失点に抑える圧巻の投球でチームの優勝に大きく貢献しました。

第37回社会人野球日本選手権大会は、新たな予選方式の導入や実験的な試みとしての1回戦分散開催など、改革の過程にある社会人野球の姿を映し出す大会となりました。

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