第4回社会人野球日本選手権大会

第4回社会人野球日本選手権大会

1977年10月23日から30日までの8日間、社会人野球の年間王者を決定する第4回日本選手権大会が、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場にて盛大に開催されました。

大会の流れ

この年の夏の都市対抗野球で優勝を果たした神戸製鋼は、本大会の兵庫県予選で川崎製鉄神戸に敗れるも、推薦枠を得て近畿地区予選に出場。激戦を勝ち抜いて本戦への切符を掴み、最終的にはベスト4に進出する強さを見せました。一方、都市対抗で準優勝だった熊谷組は、出場権をかけた東京都予選の初戦で思わぬ敗退を喫し、本大会への出場は叶いませんでした。

大会序盤から記録的な熱戦が繰り広げられました。特に2回戦の九州産交対鷺宮製作所の一戦は、延長19回にも及ぶ壮絶な投手戦となり、観衆を沸かせました。この試合では、九州産交の先発、門倉和博投手が一人で248球を投げ抜くという、大会史上最多投球数の記録を樹立しました。対する鷺宮製作所の先発、三谷又衛投手も222球を投げる力投を見せ、両チームのエースが譲らない意地を見せ合った試合でした。

決勝戦

決勝戦は10月30日に行われ、大会を通じて抜群の安定感を見せた住友金属と、好投手・小原慶司を擁する電電四国が激突しました。両チームのエースが先発し、期待通りの緊迫した投手戦となります。試合は規定の9回を終えても決着がつかず、本大会の決勝としては史上初となる延長戦に突入しました。

均衡が破れたのは延長10回裏、住友金属の攻撃でした。一死二塁のチャンスを作り、打席には打撃好調の打者。ここで電電四国バッテリーは敬遠を選択します。しかし、その敬遠のための投球が高めに外れ、痛恨のワイルドピッチとなります。二塁ランナーがこの隙を突いて一気にホームへ生還し、住友金属が劇的なサヨナラ勝利で初の日本選手権大会優勝を決めました。

住友金属のエース、森繁和投手は今大会で圧巻の投球を見せました。チームが勝ち上がった全4試合全てで先発完投勝利を達成し、まさにチームを優勝へ導く大車輪の活躍でした。

大会記録

この大会では、複数の notable な大会記録（当時またはタイ記録）が生まれました。

1試合最多三塁打: 2回戦の電電東海対神戸製鋼戦で、電電東海が2本、神戸製鋼が1本を記録し、合計3本となりました（後に第38回大会で更新）。
1イニングチーム最多犠打: 住友金属が準決勝の九州産交戦で3つ記録しました（タイ記録）。
1イニングチーム連続犠打: 上記と同じく、住友金属が準決勝の九州産交戦で3つ記録しました（タイ記録）。
連続奪三振: 新日鉄釜石の斉藤範彰投手が1回戦の門司鉄道管理局戦で6者連続奪三振を記録しました（タイ記録）。
無四球試合: 準々決勝の三協精機対神戸製鋼戦では、三協精機の伊藤投手と神戸製鋼の登記投手の両先発投手が共に無四球で完投しました。両チームの先発投手が揃って無四球試合を達成したのは、この試合のみの記録です。

表彰選手

大会の活躍が顕著だった選手には、以下の各賞が贈られました。

最高殊勲選手賞: 森繁和（住友金属 投手）
敢闘賞: 小原慶司（電電四国 投手）
打撃賞（首位打者賞）: 吉田和幸（神戸製鋼 二塁手）

また、大会を通して特に優れたプレーを見せた選手たちが、大会優秀選手として選出されました。（所属は大会登録時点）

投手
森繁和（住友金属）
小原慶司（電電四国）
福間納（松下電器）
登記欣也（神戸製鋼）
佐藤公弘（電電信越）
門倉和博（九州産交）
捕手
木原弘人（松下電器）
中村裕二（住友金属）
一塁手
大村雅文（神戸製鋼）
二塁手
吉田和幸（神戸製鋼）
湖口一幸（電電信越）
田代文博（九州産交）
三塁手
平谷拓（松下電器）
鎌土隆志（電電四国）
遊撃手
葉坂良一（神戸製鋼）
飯島淳（住友金属）
外野手
西村博巳（住友金属）
玉井隆彦（電電四国）
堀江隆樹（松下電器）
浜田雄次（松下電器）
小林貢（神戸製鋼）
* 井上新一（九州産交）

この大会は、エースの力投、記録的な延長戦、そして劇的なサヨナラといった数々の名場面を生み出し、社会人野球の魅力を存分に伝えるものとなりました。住友金属は、チーム一丸となった戦いと、森繁和投手の卓越したピッチングで初の日本一の座を掴み取り、その歴史に新たな1ページを刻みました。

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