第40期順位戦

概要

第40期順位戦は、1981年6月から1982年3月にかけて行われた1982年度の将棋棋戦です。順位戦は、将棋界で最も長い歴史を持つタイトル戦である名人戦への挑戦者を決定するための重要な予選棋戦として位置づけられています。

この第40期を含む第36期から第43期までの期間は、棋戦の正式名称が現在とは異なっていました。最高峰のA級は「名人戦挑戦者決定リーグ戦」、B級1組以下のクラスは「昇降級リーグ戦」と呼ばれていましたが、棋戦の仕組みやルール自体は基本的に現行の順位戦と同様であり、第44期からは再び「順位戦」の名称に戻っています。そのため、本記事では便宜上、一部の記述で現在の順位戦のクラス表記（A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組）を用います。

ここでは、第40期順位戦の結果を通じて決定された名人挑戦者と、それに続く第40期名人戦七番勝負についてもあわせて詳述します。

第40期順位戦（名称：名人戦挑戦者決定リーグ戦・昇降級リーグ戦）

順位戦は、棋士がA級からC級2組までの5つのクラスに分かれて年間を通じて対局を行い、その成績によって次期の名人挑戦権獲得、あるいは上位クラスへの昇級、下位クラスへの降級（または降級点獲得）が決まるシステムです。

第40期における各クラスの昇級・降級（降級点）定員は以下の通りでした。

A級（名人戦挑戦者決定リーグ戦）
名人挑戦：1名
降級：2名

B級1組（昇降級リーグ戦1組）
昇級：2名
降級：2名

B級2組（昇降級リーグ戦2組）
昇級：2名
降級点：4名

C級1組（昇降級リーグ戦3組）
昇級：2名
降級点：4名

C級2組（昇降級リーグ戦4組）
昇級：3名
* 降級点：0名（当初7名の参加者）

この期の順位戦を勝ち抜き、名人挑戦権を獲得したのは加藤一二三十段でした。A級リーグ戦で優れた成績を収め、見事、永世名人資格を持つ中原誠名人への挑戦権を手にしました。

第40期名人戦七番勝負

第40期名人戦七番勝負は、当時の名人である中原誠名人に、挑戦者となった加藤一二三十段が挑む形で争われました。対局は1982年4月13日に開幕し、激闘の末、同年7月31日まで繰り広げられました。

シリーズは白熱した展開となり、結果は加藤挑戦者が4勝3敗で中原名人を下し、自身初となる悲願の名人位を獲得しました。

この七番勝負は、単なる勝敗数だけでなく、将棋史に残る特異な経過を辿ったことでも知られています。シリーズ中に1回の持将棋と2回の千日手が発生しました。持将棋は引き分けとして扱われますが、規定により両対局者に0.5勝が付与されました。また、2日制対局の2日目午後3時以降に成立した千日手については、その対局が指し直しとなり、日程を繰り延べて実施されました。

特に最終局までもつれ込んだ激闘は注目を集め、シリーズは第7局で決着せず、特別に第8局が実施されることとなりました。この第8局では、対局前に振り駒が行われました。そして、その第8局でも千日手が発生し、再び指し直し局が行われるという、異例中の異例の展開となりました。歴史的な指し直し局は、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、そこで加藤十段が勝利を収め、名人位を奪取する快挙を成し遂げました。

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