第44回都市対抗野球大会

第44回都市対抗野球大会

第44回都市対抗野球大会は、1973年（昭和48年）7月27日から8月7日までの期間、後楽園球場を舞台に開催されました。全国から選ばれた32チームが参加し、熱戦が繰り広げられました。この回も、前年同様に全国各地区の予選を勝ち抜いた強豪が集結。その中で、秋田県の仁賀保町から出場したTDK、広島県の福山市に拠点を置く日本鋼管福山、そして愛媛県の松山市代表である伊予銀行の3チームが、都市対抗の舞台に初めて足を踏み入れました。

大会の序盤から中盤にかけては、関東地区代表チームの強さが目立ちました。その傾向は顕著で、「東高西低」と形容されるほど、関東勢が上位に進出。最終的には、ベスト4を関東地区のチームが独占する展開となりました。

頂点を決める決勝戦は、大会最終日の8月7日に行われました。この決勝戦は、神奈川県に本拠地を置く二つのチーム、横須賀市代表の日産自動車と川崎市代表の日本鋼管による顔合わせとなりました。両チームともに、過去に黒獅子旗を手にした経験がなく、初優勝を目指す者同士の対決となりました。日本鋼管は、その強力な打線が「ハガネ打線」と呼ばれ、特に準決勝、そしてこの決勝戦と、重要な局面で爆発的な攻撃力を発揮しました。この猛攻により、日本鋼管は日産自動車を圧倒。見事、チーム創部以来初めてとなる黒獅子旗、つまり都市対抗野球大会の優勝旗を獲得しました。

この第44回大会から、新たな試みとして「若獅子賞」が創設されました。これは、将来有望な若手選手に贈られる新人賞にあたるもので、大卒選手は入社1年目、高卒選手は入社1年目または2年目の選手が選考対象となりました。記念すべき第1回若獅子賞には、北海道の白老町から出場の強豪、大昭和製紙北海道の中山俊之投手が選ばれました。中山投手は、チームを都市対抗史上初のベスト8進出に導くなど、顕著な活躍を見せ、初代受賞者としてその名を刻みました。

大会を彩った個人およびチームには、様々な表彰が行われました。

主要な表彰選手は以下の通りです。

橋戸賞（最優秀選手賞）: 宇賀山 徹 一塁手（日本鋼管）
久慈賞（殊勲選手賞）: 須藤 和彦 捕手（日産自動車）
小野賞（優秀選手賞）: 内藤 博 遊撃手（日本鋼管）
若獅子賞（新人賞）: 中山 俊之 投手（大昭和製紙北海道）

また、長年の功績を称える10年連続出場表彰選手として、日本通運の中川隆道捕手と、日本生命の加嶋和彦外野手が表彰されました。

グラウンドでの熱戦を盛り上げた応援団にもスポットが当てられ、応援団コンクールが実施されました。

応援団コンクールの受賞チームは以下の通りです。

最優秀賞: 日産自動車
優秀賞: 日立製作所、日本鋼管
敢闘賞: TDK
特別賞: 該当なし
* 努力賞: 大昭和製紙北海道

このように、第44回都市対抗野球大会は、日本鋼管の初優勝という新たな歴史が刻まれ、若獅子賞の新設など、記憶に残る大会となりました。

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