中山俊之

中山 俊之

中山 俊之（なかやま としゆき、1951年6月25日 - ）は、北海道函館市出身の元プロ野球選手であり、プロ野球引退後はアマチュア野球の指導者としても活動しました。特に社会人野球時代には、その卓越した投球術で全国にその名を知らしめました。

アマチュア野球での功績

中山氏の野球キャリアは、地元の函館大谷高校から始まりました。高校卒業後、北海道産業短期大学に進学し、大学球界では第2回明治神宮野球大会という全国の舞台で登板経験を持ちます。短大での学びを終えた後、社会人野球の強豪である大昭和製紙北海道に入社。ここで、中山氏はチームのエースへと成長します。

社会人時代のハイライトと言えるのは、1973年の都市対抗野球大会での活躍でしょう。この大会の1回戦では、後にアマチュア野球界の重鎮となる住友金属の投手、山中正竹氏と歴史に残る投げ合いを展開しました。両チーム無得点のまま延長15回で引き分けとなり、翌日の再試合でも再びマウンドに上がって勝利に貢献しました。さらに、2回戦では、この大会注目の好投手であった日本楽器の池谷公二郎氏（後にヤクルトのエースとなる）にも投げ勝ち、チームを準々決勝まで導く原動力となりました。準々決勝では日本通運に惜しくも敗れましたが、この大会での獅子奮哮の投球が評価され、この年新設されたばかりの若獅子賞を受賞する栄誉に輝きました。

この年秋に行われたドラフト会議では、中日ドラゴンズから3位指名を受けますが、中山氏はこれを固辞し、社会人野球でのプレーを続けることを選びました。翌1974年、チームは大昭和製紙北海道として都市対抗野球で初優勝を果たしますが、電電北海道から補強された柳俊之氏や、北海道拓殖銀行から補強された千藤和久氏といった実力派投手の活躍もあり、中山氏はこの大会ではあまり登板機会に恵まれませんでした。しかし、同年の第1回社会人野球日本選手権では見事な復活を遂げ、準々決勝進出に貢献する2勝をマークしました。この活躍が認められ、同年末には社会人野球選抜チームの一員としてキューバ遠征に参加し、国際経験も積みました。大昭和製紙北海道時代のチームメートには、後にプロ野球でプレーする加藤英美氏や、高校野球の名将として知られる我喜屋優氏らがいました。

プロ野球・読売ジャイアンツでの歩み

社会人野球で確かな実績を残した中山氏は、満を持してプロ野球への扉を開きます。1974年秋のドラフト会議で、かねてから入団を熱望していた読売ジャイアンツから2位指名を受け、念願のプロ入りを果たしました。背番号は当初「26」を与えられました。

プロ入り1年目の1975年から、開幕直後の4月には早くも一軍のマウンドに立ちます。4月5日の大洋ホエールズ戦（後楽園球場）でプロ初登板。6回途中から救援し、2回を無失点に抑える堂々たるデビューでした。さらに、4月26日のヤクルトスワローズ戦（後楽園球場）では、2回無死からマウンドに上がり、5回を投げて1失点という内容でプロ初勝利を挙げました。プロの世界でも、持ち前の粘り強い投球で結果を出しました。

2年目の1976年は、背番号「26」のまま、主にリリーフとして11試合に登板しました。しかし、その後は残念ながら、一軍での登板機会は減少傾向となり、活躍の場を得るのに苦労しました。背番号を「13」に変更した1977年、そして迎えた1978年シーズンを最後に、惜しまれつつも現役を引退することを決断しました。プロ野球選手としてのキャリアは4年間でした。

現役時代の投球スタイルは、速球派というよりは、ストレートの「キレ」で勝負するタイプでした。オーバースローから繰り出される変化球は多彩で、大小2種類のカーブを巧みに使い分け、さらにシュートやスライダーも駆使して打者のタイミングを外しました。

引退後の活動

プロ野球選手としてのキャリアを終えた後、中山氏は野球界から離れることなく、アマチュア野球の指導者として新たな道を歩み始めました。2006年からは、自身の出身地に近い函館にある函館大学硬式野球部で指導にあたりました。コーチとして選手たちに技術や精神面を教え、その後は助監督も務めるなど、長きにわたり後進の育成に情熱を注ぎました。社会人野球で培った豊富な経験とプロ野球で得た知識を、次世代の球児たちに惜しみなく伝えています。

中山俊之氏は、社会人野球で全国レベルの実績を残し、プロ野球という最高峰の舞台も経験。引退後も指導者として野球界に貢献し続ける、北海道が生んだ野球人として記憶されています。

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