第45回先進国首脳会議

第45回先進国首脳会議（ビアリッツ・サミット）

第45回先進国首脳会議、通称「ビアリッツ・サミット」は、2019年8月24日から26日にかけて、フランス南西部の都市ビアリッツで開催されました。この会議は、主要7ヶ国（G7）の首脳が集まる年次の会合です。もともとはロシアを含むG8として開催されていましたが、2014年にロシアがクリミアを一方的に編入したことを受け、G8体制での意味ある議論が困難になったとして、ロシアを除くG7として会議が継続されています。

会議の主会場には、ビアリッツの歴史あるオテル・デュ・パレが選ばれ、首脳級の会合や晩餐会などが執り行われました。より多くの関係者やセッションのための会場としては、市内のベルビュー・コンベンションセンターが使用され、多岐にわたるテーマについて議論が展開されました。

会期は3日間にわたりました。初日には、欧州理事会議長による記者会見や議長国フランス大統領による歓迎行事、そしてG7首脳のみでのディナーが行われました。2日目は、朝からワーキングセッションが始まり、「不平等との戦い」をテーマにしたワーキングランチや、G7ジェンダー平等諮問委員会の発表、そして「アフリカとのG7パートナーシップ」に関する議論が行われました。夜には、招待国も加わった拡大ディナーが開催されました。最終日には、「気候、生物多様性、海洋」といった環境問題を扱った拡大ワーキングセッションや、「デジタルトランスフォーメーション」をテーマとした拡大ワーキングランチが行われ、その後クロージングセッションをもって閉会となりました。

このサミットには、G7各国（日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ）の首脳に加え、欧州連合（EU）の代表が出席しました。EUからは、通常は欧州委員会委員長と欧州理事会議長が参加しますが、今回は欧州委員会委員長が欠席したため、欧州理事会議長がEUを代表しました。参加者の中で特筆すべき点として、イギリスのボリス・ジョンソン首相はこれが初めてのG7サミット参加であり、EUのドナルド・トゥスク欧州理事会議長にとっては最後の参加となりました。また、議長国のフランス大統領は、インド、オーストラリア、スペインの首脳らを特別招待者として迎え、アウトリーチ・セッションでG7以外の国々とも意見交換を行いました。

会議の成果としては、参加国間の意見の隔たりが一部で大きかったため、例年のような包括的な首脳宣言の採択は見送られることになりました。しかし、議長であるフランスのマクロン大統領の提唱により、会議で合意された主要な論点を簡潔にまとめた1枚の宣言文書が作成されました。この文書には、貿易問題、イランの核開発、ウクライナ情勢、リビアの安定、そして香港における情勢という五つの項目に関するG7の見解や方針が記されました。さらに、会議内では、欧州の一部加盟国が依然として復帰に反対する立場を取る中、ロシアを再びG8の枠組みに戻すべきか否かについても議論が交わされたことが明らかになりましたが、その具体的な内容は公表されませんでした。この1枚の宣言文書は、コンセンサス形成の難しさを反映しつつも、主要国として最低限の共通認識を示そうとする試みとして位置づけられます。

第45回ビアリッツ・サミットは、国際協調が試される中で開催され、首脳宣言が見送られるという異例の結果となりました。しかし、気候変動やデジタルトランスフォーメーションなど、地球規模の新たな課題に対する議論も行われました。また、特別招待国を招いたアウトリーチ・セッションを通じて、G7以外の主要国との連携や対話の重要性も示されました。参加者の顔ぶれにも変化が見られ、新たな時代のG7の役割や方向性が問われる会議となりました。

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