第46回トロント国際映画祭

第46回トロント国際映画祭：ハイブリッド開催と多様な作品群

2021年、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、第46回トロント国際映画祭（TIFF）が9月9日から18日までの日程で開催されました。前年に引き続き、劇場上映とオンライン配信を組み合わせたハイブリッド方式での開催となりました。芸術監督のキャメロン・ベイリーは、2019年の規模には及ばないものの、2020年よりは大幅に規模を拡大したと発表しており、100本以上の映画が上映されました。

開催方式と会場

TIFFベルライトボックス、プリンセス・オブ・ウェールズ・シアター、ロイ・トムソン・ホールといった劇場での上映に加え、デジタルプラットフォーム「デジタルTIFFベルライトボックス」を用いたオンライン配信も行われました。オンライン上映はトロントだけでなく、カナダの他都市にも拡大され、地理的な制約を超えた映画体験を提供しました。特に、『ディア・エヴァン・ハンセン』の世界プレミア上映はプリンセス・オブ・ウェールズ・シアターとロイ・トムソン・ホールにて盛大に行われ、『DUNE/デューン 砂の惑星|DUNE_デューン 砂の惑星』のIMAXワールドプレミア上映もシネスフィアにて開催されるなど、話題作の上映が目白押しでした。

プログラム編成と上映作品

映画祭のプログラムは段階的に発表されました。6月には最初の13作品が選出され、その後、ガラ・プレゼンテーション、スペシャル・プレゼンテーション、コンテンポラリー・ワールド・シネマ、ディスカバリー部門といった各セクションの上映作品が、7月から8月にかけて順次発表されました。当初ガラ・プレゼンテーションに予定されていた作品の中には、デルタ株流行の影響で公開延期となり、出品を取り消された作品もありました。また、スティーヴン・ソダーバーグ監督による未発表作品の上映も大きな話題となりました。

主な上映作品

オープニング作品は、スティーヴン・チョボスキー監督の『ディア・エヴァン・ハンセン』、クロージング作品はチャン・イーモウ監督の『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』が選ばれました。ガラ・プレゼンテーション、スペシャル・プレゼンテーション、コンテンポラリー・ワールド・シネマ、ディスカバリー、ドキュメンタリー、ミッドナイト・マッドネス、ウェイブレングス、プライムタイム、短編作品など、多様なジャンルの映画が世界中から集まりました。カナダのドキュメンタリー映画監督であるアラニス・オボンサウィンに捧げられた回顧プログラムも開催されました。

受賞作品とTIFFトリビュート・アワード

観客賞はケネス・ブラナー監督の『ベルファスト』が受賞しました。ただし、『DUNE/デューン 砂の惑星|DUNE_デューン 砂の惑星』、『ラストナイト・イン・ソーホー』、『スペンサー ダイアナの決意』などは、配給元の都合によりデジタルプラットフォームでの上映が許可されなかったため、観客賞の対象外となりました。

毎年恒例のTIFFトリビュート・アワードは、映画界に貢献した俳優や映画製作者を表彰するもので、授賞式は9月18日に行われ、CTVで放送されました。ジェフ・スコール賞、エベール監督賞、俳優賞、スペシャル・トリビュート賞、エマージング・タレント賞、バラエティ・アルチザン賞など、様々な賞が贈られました。

まとめ

第46回トロント国際映画祭は、コロナ禍という困難な状況の中、ハイブリッド方式を採用することで、世界中の映画ファンに映画体験を提供することに成功しました。多様なジャンルの作品上映と、才能ある映画人への表彰は、映画祭の重要な役割を改めて示すものでした。今後の映画祭にも、更なる発展が期待されます。

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