第49回全国高等学校野球選手権大会

1967年の夏、日本の高校野球ファンが注目する一大イベント、第49回全国高等学校野球選手権大会が、真夏の太陽が照りつける阪神甲子園球場で盛大に開催されました。

この大会は、同年8月11日から8月20日までの10日間にわたり、全国各地の予選を勝ち抜いた代表校が集結し、白球に青春を懸けた熱い戦いを繰り広げました。

大会はまず1回戦からスタートし、各校が初戦突破を目指してぶつかり合いました。8月11日には習志野が堀越に勝利し、中京が明星を圧倒、土佐は延長11回にもつれる激戦の末に浜松商を下しました。翌12日には武相、広陵、仙台商、今治南がそれぞれ初戦を突破。13日には松商学園、市和歌山商、大分商が順当に勝ち上がりました。14日には東奥義塾、倉敷工、そして劇的なサヨナラ勝利を収めた報徳学園が2回戦へ駒を進め、15日には小倉工が海星を下し、1回戦の全日程が終了しました。

続く2回戦では、勝ち上がったチーム同士の厳しい戦いが展開されました。富山商が守山を下し、広陵が松商学園に勝利。16日には、中京が倉敷工にサヨナラ勝ちを収める接戦を制し、大分商も小倉工との延長戦をサヨナラで制しました。習志野も仙台商を下し、強さを見せつけました。17日には、東奥義塾が報徳学園を破り、土佐が武相に勝利。市和歌山商は今治南との延長10回に及ぶ熱戦をサヨナラ勝ちで締めくくりました。

白熱した戦いを勝ち抜いた8校による準々決勝は18日に行われました。中京が土佐との接戦をものにし、習志野は富山商を大差で破る猛攻を見せました。広陵は東奥義塾を零封し、市和歌山商は大分商を相手に大量得点を挙げる圧勝で準決勝進出を決めました。準決勝へ進出したのは、習志野、中京、広陵、市和歌山商の4校でした。

翌19日に行われた準決勝では、甲子園の決勝を目指し、さらにハイレベルな戦いが繰り広げられました。第一試合では習志野と中京が対戦し、習志野が緊迫した投手戦を制して決勝へ進出。第二試合では広陵と市和歌山商が激突し、広陵が僅差で勝利を収め、決勝の舞台への切符を手にしました。

この第49回大会で特に語り草となっているのが、1回戦、報徳学園対大宮戦で生まれた史上初の出来事です。8月14日に行われたこの試合、9回裏に入って報徳学園は2対3と1点を追いかける苦しい状況でした。しかし、二死一塁から打席に立った吉田和幸選手が右中間を深々と破る三塁打を放ち、一塁走者が生還して土壇場で同点に追いつきました。なおも二死三塁とサヨナラのチャンスは続きましたが、打席の太田富夫選手への投球はウエストボール気味となり、判定はボール。この瞬間、三塁ランナーの吉田選手がスタートを切り、本塁突入を敢行しました。相手バッテリーの意表を突いたこのプレーが見事に成功し、報徳学園は劇的なサヨナラ本盗で勝利を飾ったのです。これは全国高等学校野球選手権大会の長い歴史において、83回目のサヨナラゲームとなりましたが、サヨナラ本盗という形での決着は、この大会が史上初めての出来事でした。

多くのドラマと名勝負が生まれた第49回全国高等学校野球選手権大会は、球児たちのひたむきなプレー、スタンドを埋めた観衆の大声援、そして記録に残る劇的なサヨナラ本盗といった様々な要素が組み合わさり、夏の高校野球史に確かな一ページを刻みました。代表校の選手たちは、甲子園の土を踏み、最後まで諦めない精神で戦い抜きました。

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