第5回十字軍

第5回十字軍について

第5回十字軍は1217年から1221年にかけて行われた、教皇主導の最後の十字軍です。この軍はエジプトのエルサレム王国回復を目指しましたが、ダミエッタの占領には成功したものの、カイロの攻略には失敗し、結局撤退せざるを得ませんでした。

背景

この十字軍は、1204年の第4回十字軍の失敗を受けたものでした。第4回十字軍はコンスタンティノープルを征服したものの、エルサレム攻略には辿り着かず、現地の争いに没頭していました。そのため、ローマ教皇インノケンティウス3世は失望し、1213年に新たな十字軍の招集を命じ、その後の1215年に第4ラテラン公会議で正式に呼びかけました。この頃、神聖ローマ帝国では、教皇の支援を受けたホーエンシュタウフェン家のフリードリヒ2世がローマ王に就任し、ろうそくとも言えるメッセージが西ヨーロッパに広まっていました。

しかし、1216年にはアルビジョア十字軍の戦が再燃し、フランスの騎士たちは参加する余裕がありませんでした。シチリア育ちのフリードリヒ2世も十字軍の参加には消極的であったため、教皇は新たな十字軍の指導を試みることになりました。

十字軍の構成

1217年の春、ハンガリー王アンドラーシュ2世とオーストリア公レオポルト6世がアッコンに到着し、そこから数名の十字軍国家のリーダーたちと合流しました。十字軍は進軍を開始し、ダマスカスの王アル＝ムアッザムは、エルサレムの防御を強化するために城壁の修理を急ぎましたが、十字軍の存在が大きな脅威となりました。

しかし、1218年には、ハンガリー王アンドラーシュや他の指揮官が早々と帰国し、十字軍は人員不足に悩まされることになったのです。これに続いて、エジプトを攻略しエルサレムを維持するために、十字軍は再びエジプトのダミエッタを包囲しました。

ダミエッタ包囲戦

1218年5月、十字軍はダミエッタに向けて進軍し、そこを包囲しました。ジェノヴァ艦隊と連携し、強力な投石器を使って攻撃を開始しました。しばらくすると、アイユーブ朝のスルタンが病死し、その息子アル＝カーミルが後を継ぎます。この時、十字軍の士気は上がったものの、教皇使節が指揮権を主張したために内部での対立が生じました。

戦闘は続き、エジプト軍との小競り合いが続く中、十字軍は徐々に疲弊していきました。特にペストの流行が影響し、多くの戦士が命を落としました。その後、1219年5月には再度アル＝カーミルから和睦の提案がありましたが、これが受け入れられることはありませんでした。

カイロ進撃と撤退

1221年になると、再び攻撃を試みるも、十字軍は不利な状況に追い込まれました。進軍の準備もないままナイル川を越えようとしましたが、豪雨による氾濫に遭遇し、窮地に陥りました。最終的に、10月には十字軍はダミエッタを放棄することとなり、降伏しました。この結果、この十字軍は主導者の失敗を責められ、教皇フリードリヒ2世も大きな非難を浴びることになりました。

結果と意味

第5回十字軍は、教皇主導の最後の十字軍として知られています。この十字軍の結果は失敗に終わり、以後の十字軍は各国の王による指導のもとで行われるようになりました。教皇の権威は減少し、十字軍運動も次第にその勢いを失っていくこととなりました。

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