第50師団 (日本軍)

第50師団：台湾に展開した大日本帝国陸軍の師団

第50師団は、1944年（昭和19年）5月に大日本帝国陸軍の師団の一つとして編成されました。この師団は、留守第48師団を基幹としており、台湾軍に所属していました。

編成と配置

第50師団の編成は、戦局が厳しさを増す中で行われました。特に、所属の山砲兵第50連隊は、留守山砲兵第48連隊補充隊を基幹とし、南方への移動中に輸送船が沈没するなどして台湾に留まっていた兵員によって編成されました。これらの兵員は、急遽編成された部隊であり、その背景には当時の逼迫した戦況がうかがえます。

師団は、高雄南方に配置され、アメリカ軍の上陸に備えていました。しかし、実際に戦闘を交えることはなく、終戦を迎えることとなりました。この事実は、第50師団が実戦を経験することなく終戦を迎えたという、太平洋戦争における多くの部隊の運命を象徴しています。

師団概要

師団長は、石本貞直中将が1944年5月10日から終戦まで務めました。参謀長は、田中武次大佐が1944年5月10日から同年12月30日まで、その後は大石広海中佐が終戦まで務めました。

最終司令部構成

参謀長：大石広海大佐
参謀：藤尾森生中佐
参謀：山田常少佐
高級副官：浦井博少佐
経理部長：亀田忠次主計中佐
軍医部長：野田栄橘軍医中佐

最終所属部隊

第50師団は、以下の部隊で構成されていました。

歩兵第301連隊（台北）：奥中義男大佐
歩兵第302連隊（台南）：永野千秋大佐
歩兵第303連隊（鳳山）
捜索第50連隊（台中）
山砲兵第50連隊（台北）：田中次郎大佐
工兵第50連隊（東港）：宮本正三少佐
輜重兵第50連隊（鳳山）
第50師団通信隊
第50師団兵器勤務隊
第50師団衛生隊
第50師団第1野戦病院
第50師団第4戦病院

これらの部隊は、それぞれが特定の役割を担い、師団全体の作戦行動を支えていました。歩兵連隊は戦闘の主力であり、山砲兵連隊は火力支援、工兵連隊は陣地構築や道路整備を担当しました。

終戦

第50師団は、アメリカ軍の上陸に備えていましたが、戦闘を交えることなく終戦を迎えました。これは、太平洋戦争末期の日本軍の状況を物語るものであり、多くの部隊が十分な戦闘を行うことなく終戦を迎えたという事実を示しています。

まとめ

第50師団は、台湾防衛のために編成されたものの、実戦を経験することなく終戦を迎えた師団です。その編成背景や部隊構成は、当時の戦況や日本軍の状況を反映しており、太平洋戦争の一断面を理解する上で重要な事例と言えます。本記事では、第50師団の歴史と構成について詳細に解説しました。

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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