第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会

第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会

第57回を迎えた全国大学ラグビーフットボール選手権大会は、2020年11月21日から2021年1月11日にかけて開催されました。この大会は、日本国内の大学ラグビー界における年間王者を決定する権威あるトーナメントです。

大会形式と背景

本大会には、全国から選抜された計14チームが参加しました。トーナメント形式は変則的なシステムが採用され、勝ち上がり方式で頂点が争われました。特にこの年は、世界的に流行していた新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた開催となりました。感染拡大防止のため、大会序盤の1回戦および2回戦は、異例の無観客試合として実施されました。

出場校とその選考

全14校の出場校は、以下の基準で選考されました。

関東大学対抗戦Aグループの上位3チーム
関東大学リーグ戦1部のトップ3チーム
関西大学リーグ戦Aリーグの上位3チーム
前年度優勝校が所属するリーグ（関東大学対抗戦Aグループ）から、既に出場権を得ているチームに次ぐ順位の1チーム（この年は4位校）
前年度準優勝校が所属するリーグ（関東大学対抗戦Aグループ）から、既に出場権を得ているチームに次ぐ順位の1チーム（この年は5位校）
北海道・東北地区代表として1チーム
東海・北陸・中国・四国地区代表として1チーム
九州地区代表として、九州学生リーグI部の優勝チーム1校

これらの基準により、各地域の予選やリーグ戦を勝ち抜いた精鋭たちが集いました。

開催日程と競技場

大会は複数の段階を経て進行しました。主な日程と使用された競技場は以下の通りです。

1回戦：2020年11月21日（福岡県営春日公園球技場）
2回戦：2020年11月29日（パロマ瑞穂ラグビー場）
3回戦：2020年12月13日（秩父宮ラグビー場、花園ラグビー場）
準々決勝：2020年12月19日（秩父宮ラグビー場、花園ラグビー場）
準決勝：2021年1月2日（秩父宮ラグビー場）
決勝：2021年1月11日（国立競技場）

決勝戦は、新しくなった国立競技場で行われ、大学ラグビーの頂上決戦にふさわしい舞台となりました。

大会の流れと結果

この大会では、シード校として関東大学対抗戦Aグループ1位の明治大学、関東大学リーグ戦1部1位の東海大学、そして関西大学リーグ戦Aリーグ1位の天理大学が準々決勝から登場しました。前年度準優勝校が所属するリーグの順位枠により、関東大学対抗戦Aグループ2位の早稲田大学も準々決勝からのシードとなりました。

3回戦からは慶應義塾大学、帝京大学、筑波大学といった関東勢と、流通経済大学、日本大学といった関東リーグ勢、さらには同志社大学、京都産業大学といった関西勢が参戦し、トーナメントに熱が加わりました。

大会を勝ち進んだチームの中で、特に注目を集めたのは天理大学でした。関西リーグを制し、初の大学日本一を目指す天理大学は、準々決勝で流通経済大学を破ると、準決勝では関東大学対抗戦1位の明治大学を相手に快勝を収め、勢いに乗って決勝へと駒を進めました。

決勝戦は、伝統校の早稲田大学と天理大学の顔合わせとなりました。早稲田大学は前年度王者であり、連覇を狙っていました。しかし、天理大学が力強いアタックと堅守を見せ、早稲田大学を圧倒しました。最終スコアは天理大学が55対28で勝利し、見事、創部以来初の大学日本一の栄冠に輝きました。この優勝は、関西勢としては長い間遠ざかっていた優勝旗を奪還するという歴史的な快挙でもありました。

特筆事項

今大会では、コロナ禍という特殊な状況下での運営に加えて、出場チームに関する一つの問題が発生しました。関西リーグから出場予定だった同志社大学が、チーム内で新型コロナウイルス感染者が確認されたため、出場を辞退するという事態になりました。これを受け、関西リーグ4位だった関西学院大学が代替出場を希望しましたが、試合までの準備期間が短いことを理由に認められませんでした。この件については、日本ラグビーフットボール協会が規定の不備を認め、謝罪する事態となりました。

様々な困難や課題がある中で開催された第57回大会でしたが、天理大学の歴史的な初優勝という新たなページが加えられ、記憶に残る大会となりました。

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