第6回東アジア競技大会野球日本代表

第6回東アジア競技大会は、2013年10月に中華人民共和国の天津で開催されました。この大会において、それまで実施されていなかった野球競技が初めて正式種目として採用され、日本はこれに参加するために代表チームを編成しました。これが「第6回東アジア競技大会野球日本代表」です。

チーム編成にあたっては、いくつかの課題がありました。大会の開催時期が10月前半と、日本のプロ野球シーズン終盤や学生野球の重要な公式戦シーズンと重なるため、プロ野球選手や多くの学生選手の招集が難しい状況でした。このため、代表チームは主に社会人野球の選手を中心に構成される方針が採られました。

選手選考プロセスは、段階的に進められました。まず、全日本野球会議は6月に、社会人選手を主体とした代表候補選手を選抜しました。続いて、7月後半には選ばれた候補選手による合宿が実施され、チームとしての連携や戦術確認が行われました。そして、最終的に大会に出場する24名の代表選手が9月に発表されました。

代表メンバー24名のうち、学生野球からはただ一人、当時富士大学に在学していた山川穂高選手が選出されました。その他のメンバーはすべて社会人選手で構成されており、社会人野球の精鋭が集結したチームと言えます。特に、2012年の第83回都市対抗野球大会以降、3季連続で主要全国大会の決勝で対戦した社会人野球界の強豪、JX-ENEOSとJR東日本からは、両チーム合わせて7名もの選手が代表入りしており、チームの核を形成しました。

日本代表は、予選リーグで合計6試合を戦いました。初戦の10月6日、モンゴル代表との試合では36対0という記録的な大差で勝利し、続く10月7日の中国代表戦でも4対0と完封勝ちを収め、好調なスタートを切りました。しかし、10月8日のチャイニーズタイペイ代表戦では打線が振るわず、0対11という完封負けを喫し、チームにとって大きな課題が突きつけられました。この敗戦から立て直しを図り、10月9日の香港代表戦では18対0、10月10日の韓国代表戦では6対3、そして10月11日のグアム代表戦では12対0と、韓国戦を除いて再び大量得点での勝利を重ねました。結果、予選リーグを5勝1敗の成績で終え、グループ首位通過を果たしました。

予選リーグを1位で突破した日本代表は、10月13日の準決勝で再びチャイニーズタイペイ代表と対戦することになりました。予選での雪辱を期す一戦となりましたが、この試合では日本の投手陣が相手打線を完璧に抑え込み、打線も効果的に得点を奪い、6対0で快勝。見事に決勝進出を決めました。翌10月14日に行われた決勝戦の相手は、予選リーグでも対戦し勝利している韓国代表です。国際大会における長年のライバルとの一戦は、緊迫感のある展開となりましたが、日本代表は終盤まで集中力を維持し、粘り強い戦いを続けました。結果、4対2で韓国代表を下し、勝利を掴み取りました。

この決勝での勝利により、第6回東アジア競技大会の野球競技において、日本代表は初代金メダリストとなる栄誉に輝きました。初めて正式種目となった大会で、編成上の制約がある中で社会人選手を中心に結成されたチームが、見事なチームワークと実力を発揮し、東アジア地域の頂点に立ったことは、今後の日本野球にとっても大きな意義を持つ結果となりました。

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