第61期棋聖戦 (将棋)

第61期棋聖戦

「だい61ききせいせん」は、公益社団法人日本将棋連盟が主催する将棋のタイトル戦「棋聖戦」の第61期にあたる棋戦です。対局期間は1992年度後期、具体的には1992年4月2日から翌1993年1月22日にかけて行われました。棋聖戦は年間を通じて行われる二期制（例：前期・後期）が特徴ですが、本第61期は後期の開催分となります。

棋聖戦は、予選を勝ち抜いた棋士が本戦に出場し、トーナメント形式で挑戦者を決定した後、現役棋聖との五番勝負によってタイトル保持者を決定する挑戦手合制を採用しています。第61期においても、一次予選、二次予選、そして本戦を経て、挑戦者決定戦を勝ち上がった棋士が、当時の棋聖位保持者である谷川浩司棋聖への挑戦権を獲得しました。

本棋戦のクライマックスである五番勝負は、谷川浩司棋聖に、挑戦者として郷田真隆王位が挑む形となりました。郷田王位は当時、既に王位という主要タイトルを獲得している実力者であり、棋聖位奪取を目指しました。対局形式は各局1日制で行われ、持ち時間は両対局者ともに各5時間という長丁場の戦いとなりました。これは、午前中から対局が始まり、夕方遅くまで続く集中力の求められる形式です。五番勝負の第1局では、対局開始前に振り駒が行われ、先手番と後手番が決定されました。以降の対局の先後も規定に基づき決定されます。

五番勝負の結果は、谷川浩司棋聖が郷田真隆王位に対し、見事3勝0敗のストレートで勝利を収めました。これにより、谷川棋聖は郷田王位の挑戦を退け、棋聖位の防衛に成功しました。郷田王位にとっては悔しい結果となりましたが、当時の谷川棋聖の充実ぶりがうかがえるシリーズとなりました。

当時の谷川浩司棋聖は、棋聖に加え、竜王、王将のタイトルも保持しており、将棋界におけるトップ棋士の一人として君臨していました。この五番勝負が行われた後、谷川棋聖は同年度に開催された第5期竜王戦七番勝負でタイトルを失うことになりますが、本第61期棋聖戦での防衛は、その時期における谷川将棋の強さを示すものでした。

このように、第61期棋聖戦は、谷川浩司棋聖が三冠王として郷田真隆王位の挑戦を退け、棋聖位を防衛した棋戦として、将棋史にその名を刻んでいます。本棋戦に関するより詳細な情報や棋譜については、日本将棋連盟の公式サイトや将棋年鑑などの資料を参照することができます。

もう一度検索