第66師団 (日本軍)

第66師団

第66師団は、第二次世界大戦中に大日本帝国陸軍によって編成された師団の一つです。1944年（昭和19年）7月、台湾に駐屯していた独立混成第46旅団を基幹とし、南方への移動中に輸送船の戦没などで台湾に留まっていた兵員によって編成されました。

編成の背景

太平洋戦争末期、戦局の悪化に伴い、日本軍は各地で防衛体制を強化する必要に迫られていました。第66師団の編成もその一環であり、台湾防衛を目的としていました。この師団の編成には、現地の高砂族（現在の台湾原住民）の人々も兵士として加えられ、歩兵第249連隊に所属しました。これは、当時の日本軍が戦力不足を補うために、植民地や占領地の人々を動員した事例の一つです。

台湾での展開

第66師団は、台北と基隆方面に展開し、アメリカ軍の上陸に備えていました。しかし、幸いにもアメリカ軍との直接的な戦闘は発生せず、師団は一度も実戦を経験することなく終戦を迎えました。このため、第66師団の戦史は他の師団と比較して特筆すべき戦闘記録は残されていません。

師団の概要

師団長は、当初は北川一夫中将が務めましたが、後に中島吉三郎中将が後任となりました。参謀長には、鈴木君次中佐が終戦まで務めました。師団の構成部隊としては、歩兵第249連隊、歩兵第304連隊、歩兵第305連隊といった歩兵部隊を中心に、迫撃砲隊、速射砲隊、工兵隊、輜重兵隊、通信隊、兵器勤務隊、衛生隊、野戦病院、病馬廠などが含まれていました。これらの部隊は、台湾での防衛作戦を遂行するために必要なものでした。

歴代師団長

北川一夫 中将：1944年7月14日 - 1944年11月2日
中島吉三郎 中将：1944年11月2日 - 終戦

参謀長

鈴木君次 中佐：1944年7月14日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：鈴木君次大佐
参謀：南武正中佐
参謀：杉本保次少佐
経理部長：渡辺卯七主計中佐
軍医部長：遠山曻軍医中佐

最終所属部隊

歩兵第249連隊（台湾）：高木環大佐
歩兵第304連隊（台湾）：柳沢啓造大佐
歩兵第305連隊（台湾）：青木功大佐
第66師団迫撃砲隊：八坂留吉少佐
第66師団速射砲隊：
第66師団工兵隊：
第66師団輜重兵隊：宮島福治大尉
第66師団通信隊：藤岡孫市大尉
第66師団兵器勤務隊：
第66師団衛生隊：是永浩中佐
第66師団第1野戦病院：
第66師団第2野戦病院：
第66師団病馬廠：

終戦とその影響

第66師団は、アメリカ軍との交戦を経験することなく終戦を迎えました。これは、台湾がアメリカ軍の主要な攻撃目標にならなかったこと、そして日本の敗戦が早まったことが要因として挙げられます。終戦後、第66師団は解散し、所属していた兵士たちはそれぞれの故郷へと帰還しました。しかし、高砂族出身の兵士たちにとっては、戦後の生活や社会復帰において多くの困難が伴ったとされています。

まとめ

第66師団は、台湾防衛のために編成されたものの、実戦を経験することなく終戦を迎えた師団です。その編成には、当時の日本軍の戦力不足と植民地動員の実態が反映されています。この師団の歴史は、太平洋戦争の複雑な背景と、戦争が人々に与えた影響を物語る一例と言えるでしょう。

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

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