第7回社会人野球日本選手権大会

第7回社会人野球日本選手権大会（1980年）

第7回社会人野球日本選手権大会は、1980年（昭和55年）5月24日から6月4日にかけて、大阪球場を舞台に開催されました。

開催背景と球場変更

例年秋季に開催される社会人野球日本選手権ですが、この第7回大会は異例の春開催となりました。これは、同年の夏にアマチュア野球世界選手権大会が開催されることとなり、それに伴って第51回都市対抗野球大会が秋に順延された影響を受けたものです。本大会史上、秋季以外で開催されたのはこの第7回大会のみであり、極めて特異な回と言えます。また、開催球場もこの大会から従来の球場ではなく、大阪球場へと変更されました。

出場チームの多様化

この年の大会は、参加チームの顔ぶれが例年以上に多様化しました。初めて本大会への出場を決めたチームが7チームを数え、新たな勢力が台頭しました。中でも特筆すべきは、オール常交（現在のオールいわきクラブ）が、大会史上初めてクラブチームとして本戦出場を果たしたことです。一方で、第1回大会から連続出場を続けていた三協精機が予選で敗退し、連続出場記録を継続したのは松下電器ただ1チームのみとなりました。

試合内容の特徴

前年の大会から金属バットが正式に導入されたこともあり、試合では長打、特にホームランが多く飛び交う展開となりました。全21試合のうち、3試合で試合を決めるサヨナラホームランが飛び出すという、劇的な場面が度々生まれました。中でも、河合楽器は2試合連続でサヨナラホームランによって勝利するという、驚異的な粘り強さと勝負強さを見せ、観衆を沸かせました。

優勝チームと決勝戦

大会を制したのは、日本鋼管福山でした。投打のバランスが取れた安定した戦いぶりで勝ち上がり、第1回大会での準優勝以来となる決勝進出を果たしました。そして、決勝戦では日本楽器と対戦し、激戦の末に勝利を収め、見事初の日本選手権優勝旗を手にしました。

決勝戦（6月4日）の記録は以下の通りです。

勝投手: 田村忠義（日本鋼管福山）
敗投手: 久保真一郎（日本楽器）
本塁打: 関、渡部（ともに日本鋼管福山）

表彰選手

大会の主要な表彰選手は以下の通りです。

最高殊勲選手賞: 田村忠義（投手：日本鋼管福山）- 優勝チームのエースとして活躍。
敢闘賞: 久保真一郎（投手：日本楽器）- 惜しくも優勝を逃したチームの中心選手。
打撃賞: 山崎博行（外野手：神戸製鋼）- 優れた打撃成績を収めた選手。

大会記録

この大会では、以下のタイ記録が生まれました。

1試合チーム最多犠打: 6（タイ記録）- 北海道拓殖銀行が1回戦の田辺製薬戦で記録。
1イニングチーム最多犠打: 3（タイ記録）- 北海道拓殖銀行が1回戦の田辺製薬戦で記録。
* 最多与四球: 10（タイ記録）- オール常交の鈴木秀が2回戦の日本鋼管福山戦で記録。

第7回大会は、開催時期や球場の変更、チーム構成の多様化、そして金属バットによる試合内容の変化など、後の大会とは異なる特徴が多く見られた、記憶に残る大会となりました。

もう一度検索