第7族元素

第7族元素

第7族元素は周期表の中で特に注目される元素群であり、マンガン（Mn）、テクネチウム（Tc）、レニウム（Re）、ボーリウム（Bh）の4つを含みます。この群はマンガン族元素とも呼ばれることがあります。これらの元素は、外殻のs軌道と内側のd軌道に占有する電子が合計で7つという電子構造を持ち、それにより最大の原子価は7ですが、通常は2価または3価で存在します。また、すべての元素が遷移元素として分類されています。

第7族元素の性質

第7族元素には、価電子の配置がd5s2という特異な構造が見られます。マンガンは地殻中での存在量が0.085%と比較的豊富で、多くの酸化物を形成しますが、そのうちの4種は天然に存在します。一方、レニウムは輝水鉛鉱（MoS2）などに極微量存在し、モリブデンの精製過程で得られます。また、テクネチウムはすべての同位体が放射性で、主にウランの核分裂によって生成される99Tc（半減期約214,000年）が存在しています。テクネチウムは人工的に製造された最初の元素でもあります。

第7族元素は、s電子とd電子を全て供与し、+7から-1の価の状態まで変化します。テクネチウムとレニウムは似た性質を持つのに対し、マンガンは異なる化学的特性を持ちます。特に、テクネチウムとレニウムの化合物は通常+4、+5、+7の酸化数を取りますが、マンガンは+2、+4、+6、+7の値を採ります。特にMn(+2)状態の自由エネルギーが低いことから、マンガンの最も安定した状態とされています。高い酸化状態を持つマンガンの化合物は酸化剤として活躍し、純粋なマンガンは還元剤としての特性を持っています。

マンガンの利用

マンガンは非常に反応性が高く、ハロゲン、酸素、硫黄、炭素、窒素など多くの非金属元素と結びつきます。また、鉄鋼業界では重要な添加物とされ、鋼鉄製造に欠かせない元素となっています。テクネチウムとレニウムは似た化学的特性を持つため、各種の酸化物、硫化物、ハロゲン化物を形成します。テクネチウムの放射性同位体は主に医療の分野でトレーサーとして利用されていますが、レニウムは希少で高価なため、主に実験室での触媒や熱電対の素材として使われています。

99Tcは原子炉でウランの核分裂の結果、6%を占めており、特に100MW級の原子炉からは毎日約2.5g生成されるため、現在、自然界において安定したレニウムよりも放射性テクネチウムの入手が容易になっています。

参考文献

• - 日本化学会編『化学便覧 基礎編 1・2』（改訂5版）丸善、2004年。
• - ヘスロップ、ジョーンズ 著『無機化学 上・下』東京化学同人、1977年・1978年。
• - F.A.コットン、G.ウィルキンソン著『無機化学 上・下』（第4版）培風館、1987年・1988年。

関連項目

• - 元素

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