第71回都市対抗野球大会

第71回都市対抗野球大会 辞書記事

2000年（平成12年）の夏、7月23日から8月2日にかけて、東京都の東京ドームにて第71回都市対抗野球大会が開催されました。この大会は、多くの点で例年とは異なる様相を呈し、記憶に残るものとなりました。

大会を彩った背景と話題

前年の大会以降、NTTグループの野球部が大規模な組織再編を経て、NTT東日本とNTT西日本に統合されました。これに伴い、各地に点在していたNTT関連チームの多くがクラブ登録へと変更されました。主力選手が東西のチームへ移籍した影響もあり、多くの旧NTT系チームが予選で姿を消すこととなり、NTT（旧電電）系のチームが、40年ぶりに本大会への出場を逃すという異例の事態が発生しました。

一方で、この大会では新たな歴史も刻まれました。2000年の九州・沖縄サミット開催や、首里城などがデザインされた二千円紙幣の発行を記念した特例として、沖縄県に独立した出場枠が設けられました。これにより、沖縄電力が県勢としては28年ぶり、チームとしては初の都市対抗出場を果たしています。その他にも、北海道第1代表として創部3年目のサンワード貿易、企業チームからクラブ登録へ変更後初の出場となった北銀クラブ、そして門司鉄道局時代以来22年ぶりの出場となったJR九州など、話題のチームが登場しました。

大会期間中、7月25日には香淳皇后の斂葬の儀が執り行われたため、例年は午前・午後と3試合が行われる1・2回戦の日程が一部変更されました。この日は午後の2試合のみとなり、振り替えられた1試合は7月29日に4試合目として実施されるなど、異例の対応が見られました。

また、この大会は金属バットの使用もあり、打者優位の展開が目立ちました。全31試合で106本塁打が飛び出すなど、豪快な打撃戦が多く繰り広げられ、投手にとっては厳しい大会となりました。

熱戦の軌跡と初優勝

大会は序盤から白熱した戦いが続きましたが、最終的にベスト4には関東勢が3チームを占める結果となりました。そして迎えた決勝戦は、いずれも初の黒獅子旗獲得を目指す、神奈川県の三菱自動車川崎と大阪府の大阪ガスという顔合わせとなりました。

決勝戦では、大会を通して強力打線を誇った三菱自動車川崎が、その攻撃力を最後まで発揮。大阪ガス投手陣を打ち崩し、粘る大阪ガスを退けて見事な勝利を収めました。これにより、三菱自動車川崎が悲願の都市対抗初優勝を果たしました。

各種表彰

大会終了後には、以下の選手・チームが表彰されました。（カッコ内は補強元チーム）

橋戸賞（最高殊勲選手賞）: 西郷 泰之 内野手（三菱自動車川崎）
久慈賞（敢闘賞）: 山田 幸二郎 投手（大阪ガス）
小野賞（応援団優秀賞）: 君津市・新日鐵君津チーム
首位打者賞: 工藤 賢司 内野手（.542／三菱自動車川崎（東芝））
打撃賞: 齋藤 秋博 内野手（三菱自動車川崎）
若獅子賞（新人賞）: 西澤 祐介 外野手（三菱自動車川崎）、四之宮 洋介 内野手（日産自動車）

その他、優秀選手には多くの選手が選出されました。また、この大会では以下の選手が10年連続出場選手として表彰されています。

石村 浩司 投手（JT）
佐藤 友昭 外野手（鷺宮製作所（プリンスホテル））
黒須 隆 捕手（日産自動車）
木下 俊生 内野手（日石三菱）
田中 秀樹 外野手（北銀クラブ（NTT信越硬式野球クラブ））
田嶋 大三 捕手（大阪ガス）
杉浦 正則 投手（日本生命）
梶田 茂生 外野手（日本生命）
* 金谷 康成 外野手（日本生命）

応援団コンクールでは、最優秀賞に新日鐵君津、優秀賞に三菱自動車川崎、敢闘賞に西濃運輸、特別賞に大阪ガスが選ばれ、選手だけでなく応援団も大会を盛り上げました。

第71回大会は、NTT関連チームの再編という大きな変化がありつつも、沖縄県の特別枠新設や、金属バットによる打撃戦、そして三菱自動車川崎の初優勝といった様々な出来事があり、記憶に残る大会となりました。

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