第73回都市対抗野球大会予選

2002年に開催された第73回都市対抗野球大会の本戦出場チームを決める予選は、同年5月3日に宮城県で幕を開け、7月11日の東北地区第2代表決定戦まで、約2ヶ月間にわたって全国各地で行われました。この期間中、合計471試合が戦われ、都市対抗野球の歴史に新たな記録と記憶が刻まれました。

この大会の大きな特徴として、例年32チームが出場する本戦への出場チーム数が、この年は試験的に28チームに削減された点が挙げられます。これは翌年には再び32チームに戻されましたが、各地区の予選枠にも影響を与えました。

予選を勝ち抜いたチームの中には、初の都市対抗出場を決めたチームもありました。例えば、一光は過去に代表決定戦で5度敗れる苦い経験がありましたが、この年「6度目の正直」でついに念願の初出場を果たしました。また、伏木海陸運送も初めて本戦の舞台に立ちました。

一方で、このシーズン限りでの休部や廃部が決まっていた、いすゞ自動車と協和発酵が、最後のチャンスを見事に活かして「最後の夏」を都市対抗で迎えることになりました。特に協和発酵は、実に11年ぶりという今大会出場チームの中で最長のブランクを経ての本戦出場でした。長年都市対抗を彩ってきた強豪チームの有終の美は、多くのファンの感動を呼びました。

連続出場記録にも動きがありました。最長はJTの7年連続出場でしたが、前年まで12年連続で出場していた日本生命が予選で姿を消しました。さらに、第21回大会から実に52年間、一度も途切れることのなかった川崎市からの連続出場記録が、この年ついに途絶えることになりました。これは、長年川崎の社会人野球を牽引してきた東芝と三菱自動車川崎が、ともに予選で敗退したことによるものです。

出場枠の変更は各地区に影響を与えました。北海道地区は1減の1枠となり、この枠数は翌年以降も維持されました。関東地区では、東京と神奈川がそれぞれ1枠減らされる一方、北関東、南関東、東京、神奈川の次点チームが出場する関東地区予選の枠が1増の2枠となりました。これにより、従来の北関東・南関東の次点に加え、東京・神奈川の次点チームも関東地区予選への出場権を得る形となりました（なお、翌年以降は東京が1枠増となります）。近畿地区でも同様に、阪和と兵庫がそれぞれ1枠減少し、京滋奈地区を含む3地区の次点チームが1枠を争う近畿地区予選が新設されました（翌年以降は阪和が1枠増となります）。前回まで単独の出場枠を持っていた静岡県は東海地区に編入されました。地区合計の出場枠数は増減ありませんでしたが、前回まで割り当てられていた特別枠1枠が削減されました（翌年以降、特別枠は復活し、東海地区も1枠増となります）。

全国各地で行われた地区予選は、それぞれの地域で熱い戦いが繰り広げられました。激戦を勝ち抜き、本戦への切符を手にしたチームは以下の通りです。

北海道地区：サンワード貿易
東北地区：JT、JR東日本東北
北関東地区：日立製作所
南関東地区：日本通運、川崎製鉄千葉
東京地区：NTT東日本、鷺宮製作所
神奈川地区：日産自動車、いすゞ自動車
関東地区予選：新日鐵君津、富士重工業
東海地区：ヤマハ、トヨタ自動車、一光、王子製紙、ホンダ鈴鹿
北信越地区：伏木海陸運送
京滋奈地区：日本新薬
阪和地区：大阪ガス、松下電器
兵庫地区：三菱重工神戸
近畿地区予選：NTT西日本
中国地区：協和発酵、NKK
四国地区：四国銀行
九州地区：ホンダ熊本、三菱重工長崎

これらのチームが、2002年の夏、都市対抗野球の頂点を目指して熱戦を繰り広げました。予選でのドラマを経て本戦へ進んだ28チームは、それぞれのチーム、地域、そして応援団の想いを胸に、大舞台での活躍を目指しました。

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