第75回天皇賞

第75回天皇賞（春）概要

1977年4月29日、京都競馬場にて行われた第75回天皇賞（春）は、数々のドラマを生んだ名勝負として記憶されている。競走の舞台は、3200メートルの芝コース。天候は曇り、馬場状態はやや重であった。

出走馬と人気

レースの前評判は、前年のクラシックで注目を浴びながらも無冠に終わったテンポイントが1番人気に指名されていた。続く2番人気には、菊花賞馬のグリーングラス、3番人気には九州産のゴールドイーグルが選ばれた。また、トウショウボーイは健康上の理由で出走を見送ることになった。

テンポイントは前年、菊花賞や有馬記念で2着となり「悲運の貴公子」と称されていたが、天皇賞を目標に万全の態勢を整えていた。グリーングラスは、名家の血統を引く競走馬で、前年の菊花賞を制したことで得た注目度が高まっていた。ゴールドイーグルは、大井での3連勝を経て臨んだレースで期待されていたが、過去に脚部の不安に苦しんでいた。

レース展開

レースが始まると、最内枠から出たゴールドイーグルが積極的に前に出ていく。その後、ホシバージやケイシュウフォードが続き、コクサイプリンスやグリーングラスも前方でレースを展開した。テンポイントはその後ろに控え、イシノアラシやクラウンピラードは後方から様子を伺う展開となった。正面スタンド前では観客からの熱い声援が響き、ゴールドイーグルは必死に逃げていった。

しかし、ゴールドイーグルは徐々に疲れを見せ始め、向う正面ではグリーングラスが押し上げ、ホシバージが外から接近。やがて3コーナーでホシバージが先頭に立ち、ゴールドイーグルは徐々に力尽きていった。グリーングラス、テンポイント、スーパーフイルドと続く大混戦が繰り広げられる中、一時後退していたグリーングラスが再び先頭争いに加わった。

直線での攻防

直線に入ると二頭が激しく競り合う展開が続く。テンポイントは外に寄れながらも本来の力を発揮し、前を行くグリーングラスに食らいつく。途中、クラウンピラードが猛然と差し込んできたが、テンポイントは懸命に前を守り抜いた。

最終的にテンポイントが4分の3馬身差で先頭を維持し、見事に初のビックタイトルを手に入れることとなった。グリーングラスは4着、クライムカイザーが5着となり、ゴールドイーグルは脚部の違和感を感じながらも、14着でフィニッシュした。レース後、ゴールドイーグルは故障が判明し、引退を余儀なくされることとなった。

結果と放送

払戻金の詳細は各媒体で発表され、レースの模様は多くのメディアで放送された。テレビやラジオでは、草野仁や杉本清といった実況者がその緊迫した瞬間を伝えていた。特に、テレビ視聴者はこの伝説的なレースを通じ、テンポイントの勝利に多くの祝福を寄せることになった。

このレースは、勝利することの難しさや名馬たちの競り合いを象徴する重要なレースとして、競馬ファンの心に深く刻まれた。

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