第8回全国中等学校優勝野球大会

第8回全国中等学校優勝野球大会

1922年（大正11年）の夏、全国の中等学校球児たちが甲子園の前身である鳴尾球場に集い、熱戦を繰り広げました。この年の8月13日から8月18日までの短い期間に開催されたのが、第8回全国中等学校優勝野球大会です。

この大会は、いくつかの重要な点において、日本の野球史にその名を刻んでいます。まず、優勝校である和歌山中が、大会史上初めてとなる記念すべき連覇を達成しました。前年度の勢いそのままに頂点に立ち、その強さを見せつけました。

また、この第8回大会から、大会運営における重要な規定変更が行われました。参加する選手の資格に関する項目がより明確に定められたのです。具体的には、選手の健康状態を確認するため、学校医による健康証明書の提出が義務付けられました。これは、選手の安全や健康管理を重視する観点からの画期的な一歩と言えます。

さらに、学業とスポーツの両立を図るため、そして選手の正規の在籍状況を担保するために、厳しい参加資格の制限が設けられました。その年度の3月に進級できなかった生徒や、転校または編入してから2学期を経過していない生徒には、大会への参加資格が与えられないことが明記されました。これらの規定は、大会の公平性を保ち、中等学校の教育活動の一環としての野球大会の性格を強化する上で、大きな意味を持つ変更でした。

大会期間中、鳴尾球場では緊迫した試合が続きました。本大会の試合結果は以下の通りです。

試合結果

1回戦

島根商 7 - 5 佐賀中
松山商 8 - 5 市岡中
神戸商 8 - 3 京城中
広島商 14 - 9 秋田中
立命館中 6 - 3 南満工
和歌山中 8 - 0 早稲田実
北海中 11 - 3 名古屋商
松本商 14 - 3 竜ヶ崎中

準々決勝

和歌山中 4 - 1 立命館中
松山商 3 - 0 広島商
神戸商 2 - 0 島根商
松本商 8 - 0 北海中

準決勝

神戸商 2x - 1 松山商
和歌山中 2 - 1 松本商

準決勝を勝ち上がった和歌山中と神戸商（準決勝結果より）が決勝戦で対戦し、和歌山中が見事勝利を収め、大会史上初の連覇を達成しました。

この大会では、数々の名プレイヤーが躍動しました。特に注目された個人記録としては、大会中に記録された2本のホームランがあります。いずれも優勝校である和歌山中の選手によって放たれました。

大会本塁打
第1号：田嶋豊次郎（和歌山中）
第2号：深見顕吉（和歌山中）

また、この大会には後の野球界で重要な役割を果たすことになる選手たちも出場していました。

その他の主な出場選手
伊藤勝三（秋田中）
矢島粂安（松本商）
藤本定義（松山商）
森茂雄（松山商）

第8回全国中等学校優勝野球大会は、和歌山中による歴史的な連覇という記録だけでなく、選手の健康管理や出場資格に関する規定の整備という点で、その後の高校野球のあり方に影響を与えた重要な大会として記憶されています。これらの新たな試みは、単なる競技会に留まらない、教育的な側面を持つ大会へと発展していく礎となったと言えるでしょう。

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