第8回社会人野球日本選手権大会

第8回社会人野球日本選手権大会

1981年（昭和56年）10月26日から11月5日にかけ、大阪球場を舞台に第8回社会人野球日本選手権大会が開催されました。この大会は、社会人野球の秋の王者を決定する重要な位置づけの大会です。

大会の特徴と経緯

今大会は、出場チームが従来の20から24へと拡大され、関東と近畿地区にそれぞれ1チーム分の出場枠が増設されました。これにより、より多くのチームに全国大会出場の機会が与えられ、大会の規模が一段と大きくなりました。

前年の都市対抗野球で顕著だった「東高西低」の傾向は影を潜め、今大会は各チームの実力が拮抗し、白熱した試合が続出しました。夏の都市対抗野球を制した電電東京が予選で姿を消す波乱もあり、全国的なレベルアップがうかがえる大会となりました。

また、当時、金属バットの登場により打撃戦が増加する傾向にあった社会人野球において、今大会は比較的本塁打が少なく、緊迫した投手戦が多く見られたのが特徴的です。

記録に残る激闘

この大会では、後々まで語り継がれる壮絶な試合が生まれました。1回戦の電電九州対新日鉄名古屋の一戦は、延長20回、実に4時間57分に及ぶ死闘となり、延長回数、試合時間ともに大会記録として現在まで破られていません。両チームの粘り強い戦いが、社会人野球史に新たな1ページを刻みました。

決勝戦と初優勝

大会のクライマックスである決勝戦は、11月5日に行われ、富士重工業（現SUBARU）と大昭和製紙北海道が対戦しました。両チームのエースが好投し、息詰まる投手戦は0対0のまま延長戦に突入します。

均衡が破られたのは延長10回。富士重工業の村田選手が放ったソロホームランが決勝点となり、この1点を守りきった富士重工業が1対0で勝利。見事、大会初優勝を飾りました。

個人表彰と優秀選手

今大会で特に活躍した選手には、以下の個人賞が贈られました。

最高殊勲選手賞: 向田佳元（投手、富士重工業）- 決勝戦の勝利投手としてチームを初優勝に導く活躍。
敢闘賞: 川瀬隆俊（投手、大昭和製紙北海道）- 惜しくも決勝で敗れたものの、チームを牽引する好投を見せた。
打撃賞: 菊地恭一（外野手、東芝）- 優れた打撃成績を残した選手。

また、大会を通じて特に活躍した選手たちは「大会優秀選手」として表彰されました。

投手
川瀬隆俊（大昭和製紙北海道）
向田佳元（富士重工業）
黒紙義弘（東芝）
中川善弘（新日鐵堺）
石井毅（住友金属）
津田恒美（協和発酵）
捕手
村上忠則（大昭和製紙北海道）
佐竹政和（日生）
一塁手
高梨英夫（大昭和製紙北海道）
武智勇治（東芝）
二塁手
富永武雄（富士重工業）
宮崎剛（東芝）
三塁手
伊藤升久（河合楽器）
大野敏彦（大昭和製紙北海道）
花野巧（日本生命）
遊撃手
新木忠力（大昭和製紙北海道）
村田博幸（富士重工業）
阪本徹（河合楽器）
井尻陽久（日生）
外野手
我喜屋優（大昭和製紙北海道）
梁原修志（大昭和製紙北海道）
蝦沢道明（富士重工業）
菊地恭一（東芝）
小川淳司（河合楽器）
百村茂樹（日本生命）

その他の大会記録

今大会では、上記の最長試合時間・最多延長回記録に加え、以下のような記録も生まれました。

毎回安打:
東芝が1回戦の対四国銀行戦で記録。
日本生命が2回戦の対電電九州戦で記録（7回コールド）。
1イニングチーム最多犠打: 3（タイ記録）
国鉄名古屋が1回戦の対協和発酵戦で記録。

大会規模の拡大と記録的なロングゲーム、そして投手戦の末の劇的な幕切れなど、第8回社会人野球日本選手権大会は、記憶に残る大会となりました。

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