第94回アカデミー賞

第94回アカデミー賞授賞式：感動と騒動が交錯した一夜

2022年3月27日、ハリウッドのドルビー・シアターで、第94回アカデミー賞授賞式が開催されました。2021年の映画を対象としたこの授賞式は、前年の視聴率低迷を受け、放送時間を3時間に短縮するため、一部の賞の発表を事前に済ませるという異例の措置が取られました。この決定は、一部関係者から批判の声も上がりましたが、授賞式は多くの注目を集めることとなります。

ノミネート作品と受賞者

2月8日にはノミネート作品が発表され、世界中の映画ファンがその発表に注目しました。複数の部門でノミネートされた作品も多く、どの作品が栄冠に輝くのか、大きな関心を集めました。受賞者は、各部門で最も輝かしい功績を挙げた映画や個人に贈られました。

栄誉あるガヴァナーズ賞

6月24日には、アカデミー名誉賞やジーン・ハーショルト友愛賞など、映画界に多大な貢献をした人物を表彰するガヴァナーズ賞の受賞者も発表されました。サミュエル・L・ジャクソン、エレイン・メイ、リヴ・ウルマンといった著名な映画人が名誉賞を受賞し、彼らの長年の功績を称えました。また、ダニー・グローバーがジーン・ハーショルト友愛賞を受賞しました。

視聴率と招待問題

授賞式の視聴者数は過去2番目に少ない約1540万人にとどまりました。また、話題となったのは、『ウエスト・サイド・ストーリー』のヒロイン役を演じたレイチェル・ゼグラーが、授賞式に招待されていなかったという出来事でした。当初は招待されていなかったものの、その後、AMPASはゼグラーを授賞式に招待し、プレゼンターも務めることを明らかにしました。

国際的な放送と中国の放送中止

アメリカではABC、日本ではWOWOWで授賞式が生中継されました。しかし、近年は中国中央電視台（CCTV）で放送されていた授賞式が、2年連続で放送中止となりました。その理由として、長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた『アセンション』（中国経済をテーマにした作品）や、授賞式でのウクライナ支援、ロシア批判への懸念などが挙げられています。

ウクライナ支援への呼びかけ

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ウクライナ出身の女優ミラ・クニスが登壇し、ウクライナへの支援を呼びかけました。また、侵攻による犠牲者への黙祷も捧げられました。ゼレンスキー大統領の出演も期待されていましたが、実現しませんでした。

ウィル・スミスによる平手打ち騒動

授賞式最大の話題となったのは、ウィル・スミスによるクリス・ロックへの平手打ち騒動でした。コメディアンであるクリス・ロックが、ジェイダ・ピンケット・スミスの容姿を侮辱する発言をしたことに対し、ウィル・スミスが激昂し、壇上でロックに平手打ちをしたのです。この騒動により、ABCやWOWOWなど、授賞式を生中継していた放送局は一時的に放送を中断する事態となりました。

この騒動の後、AMPASはスミスに会場からの退場を求めましたが、スミスは拒否しました。その後、スミスは主演男優賞を受賞しましたが、ロックへの謝罪は行いませんでした。しかし、後日、スミスは自身のInstagramでロックをはじめ関係者へ謝罪しました。

AMPASはスミスの行動を調査し、懲戒手続きを開始しました。そして、スミスはアカデミーから退会し、AMPAS主催イベントへの出席を10年間禁止される処分を受けました。しかし、主演男優賞は剥奪されませんでした。

第94回アカデミー賞授賞式は、数々の受賞に輝いた作品や個人を称えると共に、様々な出来事が注目を集めた、記憶に残る一夜となりました。

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