笹野一刀彫

笹野一刀彫：山形県米沢市に息づく伝統の木彫工芸

笹野一刀彫は、山形県米沢市笹野地区で古くから作られてきた木彫りの工芸品です。特徴的なのは、コシアブラの丸木を「サルキリ」と呼ばれる独特の刃物で削り出し、手作業で彩色を施すその製法。

笹野一刀彫の魅力

素朴で温かみのある造形: 笹野一刀彫の題材は、人々に親しまれてきた縁起物が多く、中でも鷹をモチーフにした「お鷹ポッポ」は代表的な存在です。その他にも、鶏、ウサギ、恵比寿大黒など、様々な動物や人物がモチーフとされ、その素朴な造形と温かみのある色彩が魅力となっています。

農民の手仕事から生まれた工芸品: 笹野一刀彫は、もともと笹野地区の農民たちが、農作業の合間に副業として製作していたものです。そのため、生活に根ざした素朴な美しさが、作品に息づいています。

笹野一刀彫の歴史

笹野一刀彫の起源は、806年に創建されたとされる笹野観音堂にまで遡ると伝えられています。火伏せのお守りや縁起物として、1000年以上もの間、人々に親しまれてきました。

江戸時代後期には、米沢藩主の上杉鷹山が、藩の産業振興策の一環として笹野彫を奨励しました。これにより、農民の冬季の副業として笹野彫が広まり、その伝統が現在まで受け継がれています。

笹野一刀彫の現在

1971年には、笹野地区を中心に、約130名の工人によって笹野彫協同組合が結成されました。しかし、近年は製作者が減少傾向にあり、2005年頃には35名にまで減っています。組合では、「笹野彫」「笹野一刀彫」の団体商標を取得し、ブランドの保護に努めています。

著名な工人としては、情野辰蔵氏が挙げられます。情野氏は、長年にわたり笹野一刀彫の製作に携わり、その功績が認められ、1973年には齋藤茂吉文化賞を受賞しています。また、加藤孝吉氏も、伝統工芸の職人として知られています。

笹野民芸館

米沢市には、笹野一刀彫を中心とした伝統工芸を紹介する「笹野民芸館」があります。ここでは、笹野一刀彫の展示販売のほか、製作工程の見学や絵付け体験も楽しむことができます。

笹野一刀彫に触れる

笹野一刀彫は、米沢の歴史と文化が息づく、貴重な伝統工芸品です。その素朴な美しさと温かみに触れ、職人たちの手仕事の温もりを感じてみてください。

関連情報:

米沢市
郷土玩具
上杉鷹山
笹野観音堂

もう一度検索