筋 (麻雀)

麻雀におけるスジの基本と応用

麻雀におけるスジ（スジ）とは、基本用語の一つで、「あいだに2牌挟んだ2種類の牌」を1セットとして捉えた概念です。例えば、2と3を挟んだ1と4、3と4を挟んだ2と5などが、それぞれ1-4のスジ、2-5のスジと呼ばれます。本稿では、スジおよびスジに関連する用語や概念について概説します。

スジの基本

麻雀では、順に並んだ連続する3つの牌を1つの面子とする順子があります。順子になる一段階前の状態を搭子と言いますが、そのうち隣り合う2つの牌でできた搭子で、1と9を含まない搭子を両門搭子（リャンメンターツ）と言います。両門搭子にあと1牌くれば順子が完成しますが、その「あと1牌」のことをスジと言います。

以下は両門搭子とそのスジの対応です。

12 → 34 (イースー)
23 → 14 (リャンウー)
34 → 25 (サブロー)
45 → 36 (スーチー)
56 → 47 (ウッパー)
67 → 58 (ローキュー)

これら6種が基本となるスジです。

23の両門搭子に456の順子がくっついている場合、牌理により「あと1牌」が1種類増えます。34に567がくっついている場合や、45に678がくっついている場合も同様です。以下3種はその対応です。なお、以下3種は「ピアノスジ」と呼ばれることもあります。

12 → 347 (イースーチー)
23 → 158 (リャンウッパー)
34 → 269 (サブローキュー)

狭義には先に挙げた6種をスジと言い、広義には後に挙げた3種も含めてスジと言います。

表スジ

表スジ（おもてすじ）とは、以下の3種のことです。

1が捨て牌にあると4
2が捨て牌にあると5
3が捨て牌にあると6

相手が両門で待っている時、捨て牌にXがあれば、X+3の牌は比較的安全であると考えられます。これを頼りに通っていない牌を切ることを「スジを追う」と言います。

ただし、1に対する4, 2に対する3と6, 7に対する4, 8に対する5, 9に対する6は表スジとは言いません。これらは片スジ（かたすじ）もしくは鈍らスジ（なまくらすじ）と呼ばれます。また、1に対する6, 2に対する7, 3に対する8などを、俗に「遠いスジ」と言うことがあります。

歴史的には「表スジ」はもともと単に「スジ」と呼ばれていましたが、のちに裏スジという用語が使われるようになったために、裏スジに対応して「表スジ」という表現が使われるようになりました。

中スジ

中スジ（なかすじ）とは、以下の3種のことです。

1と4に対する2と3
2と5に対する3と4
3と6に対する4と5

中スジに該当する牌のことを筋心牌（きんしんぱい）と呼ぶこともあります。

スジ引っかけ

スジ引っかけとは、スジが通りやすいという通念を逆手に取り、自分が既に河に捨てた牌のスジで待つことを言います。

(例) モロひっかけ


567 34 ツモ8


ここから7を切ってリーチすると、待ちは58になります。すなわち、リーチ宣言牌のスジが待ちになっているリーチをモロ引っかけ（モロヒ、モロ掛け）と言います。

無スジ

無スジ（むすじ）とは、文字通りスジになっておらず、通っていないスジのことです。相手の待ちになっているのはたいていの場合1種類か2種類であり、無スジが全て危険に見えるのは守勢に回った者の幻想です。しかし、たいていのリーチは無スジのうちのいずれかのスジが当たりになっていることが多いです。

裏スジ

裏スジ（うらすじ）とは、ある牌の隣の牌のスジのことです。

例えば、3が捨て牌にあるとき、

2の裏スジは14
* 4の裏スジは25

裏スジが危険とされるのは、例えば手の内に23とあれば、通常2が切り出されて34の形つまり5の受け入れが残るためです。

間四間

間四間（間四ケン、あいだよんけん）とは、「同色で4つ離れた数牌が切られている時の、その内側のスジ」のことです。すなわち「裏スジを共有しているスジ」のことです。

間四ケンが危険とされる理由は、基本的には裏スジが危険とされる理由と同じです。例えば手の内に24とあった場合、手作りの進行に従って2と4が切り出され、35の形つまり受けが残る。最後までその部分が埋まらなかった場合は当然そこが待ちになります。

またぎスジ

またぎスジ（跨ぎスジ）とは、文字通りある牌をまたぐスジのことです。

ドラが5で捨て牌に萬子が少なく、どちらかと言えば萬子を多めに持っているようにも見える。特にドラのまたぎスジは「ドラまたぎ」と呼ばれ、比較的危険度が高いとされます。

序盤の裏スジ、中盤のまたぎスジ

序盤に切られた牌についてはその裏スジが危険で、中盤以降に切られた牌についてはそのまたぎスジが危険、という意味の麻雀格言です。手なりであればあるほど河は素直になり、「序盤の裏スジ、中盤のまたぎスジ」という判断材料が当てになる場合が多くなります。

疝気スジ

疝気スジ（せんきすじ）とは、裏スジの裏スジに当たるスジのことです。

中盤以降に切られた牌については、その裏スジが危険なのか、そのまたぎスジが危険なのか、その疝気スジが危険なのか、あるいは面子が完成したことで切られた余剰牌なのか、簡単には判断できません。

ドラスジ

ドラスジとは、文字通りドラを含むスジのことです。ドラスジが危険とされるメカニズムは、多くの打ち手がドラの受け入れを積極的に嫌うことが少なく、場合によっては最後まで残るためです。

暗刻スジ

暗刻スジ（あんこすじ）とは、自分が暗刻で持っている牌のスジのことです。自分が3枚あるいはそれ以上の枚数を固めて持っていることで、そのスジを受け入れる形を持っている他家はそのスジが最後まで引けず、結果としてそのスジが待ちになっている可能性が高い、という理屈で危険とされます。

スジは麻雀の守備において重要な考え方の一つです。しかし、スジはあくまで確率論であり、100%安全というわけではありません。状況に応じて柔軟に判断することが大切です。

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