筋弛緩モニタ

筋弛緩モニタの概要と機能

筋弛緩モニタ（きんしかんモニタ）は、筋弛緩薬の効果を監視するために使用される装置です。このモニタは、特に気管挿管や外科手術の際に筋弛緩の状態を正確に評価するために不可欠です。さらに、患者が術後に麻酔から回復する際の筋弛緩の状態を確認するためにも利用されます。

モニタの種類

筋弛緩モニタは主に二つのタイプに分類されます：客観的モニタと主観的モニタです。

客観的モニタ

客観的モニタは、筋弛緩の効果や回復状態を数値として示すことができる装置です。

• - 筋張力モニタ：筋の収縮力を測定します。
• - 筋電図モニタ：筋の複合的な活動電位を記録します。
• - 加速度検知型筋弛緩モニタ：このモニタは、測定部位に加速度トランスデューサーを使用し、筋収縮力を測定します。特に感度が良く、チームの指示に従った様々な筋肉に対応できます。以前はTOFウォッチTMが広く利用されていましたが、現在は販売終了となっています。
• - 圧電気モニタ：この装置は、母指内転筋の収縮を簡単に測定することができます。

主観的モニタ

主観的モニタは、手術中に使用される簡易的な装置で、例えば四連（TOF）刺激に対する反応を確認することが主な目的です。この反応の数（TOFカウント）を観察することで、筋弛緩薬の投与タイミングを調整します。推奨されるのはTOFカウントが1から2以下となるように、筋弛緩薬を使用し、その結果、適切な筋弛緩が維持されます。しかし、主観的な観察は評価に確実性を欠くため、筋弛緩からの完全な回復を評価するのは難しい場合があります。

神経と筋の選択

筋弛緩モニタリングでは、対象となる神経と筋肉の適切な組み合わせが重要です。例えば、尺骨神経で母指内転筋や顔面神経で皺眉筋といった選択肢があります。皺眉筋でのモニタリングは、特に気管挿管のタイミングを判断するのに有用とされ、逆に、母指内転筋は筋弛緩からの回復が遅いため、回復度を評価するのに適しています。

神経刺激法

筋弛緩の評価には、いくつかの刺激法が使用されます。

• - 四連（TOF）刺激：これは、2Hzの刺激が4回連続で行われる方法で、筋弛緩の状態を維持しながら確認できます。
• - ダブルバースト刺激：これは、筋弛緩からの回復を評価するために、短時間の間隔で二つのバースト刺激を用います。
• - テタヌス刺激：高い周波数での連続刺激を使用し、その間の減衰を分析します。この方法では、刺激そのものに伴う痛みがあるため、意識のある状態では使いづらいです。
• - ポストテタニックカウント（PTC）：非常に深い筋弛緩状態からの徐々に回復に関する情報を提供する方法です。

TOF比

TOF比は、筋弛緩がどれほど戻っているかを計測する重要な指標で、通常、投与前にはTOF比は1ですが、非脱分極性筋弛緩薬を使用した際には減衰が見られ、TOF比が0.9以上になれば至適回復を示すとされます。

まとめ

筋弛緩モニタは、手術中の筋弛緩の評価に不可欠な装置であり、客観的および主観的な測定方法によってその効果を確認しています。適切なモニタリングを行うことで、手術中の安全性や患者の回復に大きく寄与することが期待されます。

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