筋電図

筋電図（EMG）についての詳細

筋電図（きんでんず、英: electromyography, EMG）は、筋肉が発生する微弱な電場の変化を計測し、電位を横軸には時間、縦軸には電圧としてグラフに表示する技術です。EMGは、筋肉や神経の疾患を診断するための重要な検査法として広く用いられています。

筋電図の原理と検査機器

筋電図検査は、神経から筋肉にかけての疾患の有無を調べる生理的な検査です。この検査では、刺激電極、測定電極（関電極）および不関電極（基準電位用およびアース）を使用し、電気刺激装置と信号増幅器、表示・記録部を含む検査装置が必要です。最近の機器は、デジタル方式に進化しており、ADコンバータを通した信号処理が主流です。

主な検査の種類

筋電図検査には、複数の手法がありますが、その中でも特に以下のものが挙げられます：

1. 末梢神経伝導検査: 手足の神経機能を評価するため、弱い電流で神経を刺激し、その反応を観察します。
2. 表面筋電図: 肌の表面に電極を貼り、筋肉の活動を測定します。
3. 針筋電図: 筋肉に針電極を直接刺し、筋肉の状態を詳細に調べる方法です。

筋電計の使用方法

筋電計の使用時は、対象の筋肉の近くに電極を装着し、支配する神経の近くに刺激電極を設置します。誤った位置に電極を設置すると、必要な刺激を与えるための電圧が高くなり、痛みを伴う可能性があります。そのため、配置には十分な注意が必要です。電気刺激が筋肉にかかると、筋の収縮が起こり、これに基づいて筋電図が得られます。

診断に関連する疾患

筋電図は、以下のような神経筋疾患の診断補助に用いられます：

• - 筋萎縮性側索硬化症（ALS）
• - 重症筋無力症（MG）

針筋電図の特性

針筋電図は、運動単位の電気活動を評価するために用いられます。運動単位は、特定の筋肉の運動を支配する神経とその神経によって支配される筋線維から形成されます。この検査では、安静時、弱い随意収縮、強い随意収縮の3つの状態で記録されます。

生理学的には、アセチルコリンが終板で放出され、筋線維を収縮させる過程が観察できます。異常な活動は、神経障害や筋疾患の有無を示す手がかりとなります。

歴史的背景

筋電計の歴史は、18世紀初頭のルイージ・ガルヴァーニの実験にまで遡ります。その後、神経に電気を流すことで筋肉が収縮することが明らかになり、神経生理学の発展が促されました。近年、筋電図は医療において欠かせないツールの一つとしてその地位を確立しました。

総括

筋電図は、神経と筋肉の機能を評価するための強力な手法です。特に神経筋疾患の診断において、その効用は非常に大きく、幅広く利用され続けています。今後も技術の進化と共に、その重要性はさらに増していくことでしょう。

もう一度検索