筑前高宮駅

筑前高宮駅の歴史と現状

筑前高宮駅（ちくぜんたかみやえき）は、福岡県福岡市中央区に位置していた日本国有鉄道筑肥線の駅です。この駅は、地下鉄1号線との直通運転の開始により、2023年10月に廃駅となりました。元は新柳町という名称で開業し、それは博多商人が九州大学を誘致するために移転した地域の地名に由来しています。

設立から廃駅までの経緯

筑前高宮駅は、1925年6月15日に北九州鉄道の新柳町駅としてオープンしました。その後、国有化に伴い、1937年10月1日に筑肥線の駅名を筑前高宮駅に改称しました。1983年3月22日には博多から姪浜間が廃止されたことにより、この駅も利用されなくなり、惜しまれつつ廃駅となりました。

駅の構造と利用状況

筑前高宮駅は、島式ホーム1面2線を持つ交差可能な設計となっていました。上下線の列車が同時に到着すると、ホームには500人以上の乗降客が集まることもあり、混雑が見られました。また、駅周辺には早良炭鉱からの石炭を運ぶための貨物線があり、昭和30年代まで多くの貨物側線が利用されていました。

ホームの長さは150メートルあり、通常は3両編成には問題なく対応できましたが、通勤や通学のラッシュ時には8両編成の列車が来ると、後ろの2両がホームからはみ出す事態が発生し、線路に直接降りる乗客も見られました。

駅舎は寄棟造りで、旅行相談所や保線区の検査室も併設されていました。1974年には、1日の乗車客数が約3,000人、降車客数は約4,000人で、ビジネスマンや行商人にとって重要な交通の要所でありました。

駅周辺の発展

新柳町駅時代は水田が広がっており、遊郭からの利用者が徒歩で向かう光景が一般的でした。しかし、1965年頃から周辺の都市開発が進み、大楠は住宅地、那の川はビル街へと生まれ変わるなど、急速に都市化が進行しました。

また、駅近くには福岡平尾郵便局や数つの学校が存在し、地域の中心的な役割を担っていました。さらに、西鉄大牟田線においては、筑前高宮駅と西鉄平尾駅の間に歩行者用のトンネルが設けられ、利便性が向上しました。

現在の状況

筑前高宮駅は廃駅となった後、駅跡地に西鉄バス高宮営業所が設けられましたが、1992年頃にこの営業所も廃止されました。現在では、駅跡には「サニー那の川店」と呼ばれるスーパーマーケットが建設され、その敷地が駐車場として利用されています。このように、多くの人々が利用した歴史ある駅が消え、今は新たな形で地域に根付いています。

まとめ

筑前高宮駅は、福岡市の発展とともに姿を変えた駅の一例です。その歴史を振り返ると、地域の発展の一翼を担ったことが分かります。廃駅となった今日も、駅があった跡地は多くの人々の生活の一部となっており、かつての賑わいをしのばせる存在として残っています。

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