筑波大学アイソトープ環境動態研究センター環境動態予測部門

筑波大学アイソトープ環境動態研究センター環境動態予測部門（略称: CRiED）は、茨城県つくば市の筑波大学筑波キャンパスに設置されている研究・教育施設です。ここでは、地形学、気象学、水文学、そして生態学といった広範な分野において、陸域環境の動態に関する研究が推進されています。

沿革

この施設は、筑波大学の設置構想に基づいて計画されたいくつかの大規模研究施設の一つとして誕生しました。その起源は、前身である東京教育大学理学部地理学教室が推進していた実験的な河川地形研究や気象・水文観測を発展させるべく、1975年に設立された水理実験センター（英語表記：Environmental Research Center）に遡ります。設立当初から、日本国内でも類を見ない規模を誇る長さ160メートル、幅4メートルの大型水路に加え、気象・水文観測のために整備された直径160メートルの広大な圃場と観測塔が設置され、独特な研究環境が構築されました。

その後、組織改編が行われ、2000年4月には陸域環境研究センター（略称: TERC）として新たなスタートを切りました。このセンターでは、設立以来継続されてきた熱収支や水収支に関する長期的な観測データが公開され、多くの研究者に利用されました。

さらなる再編を経て、2012年（平成24年）12月1日には、筑波大学アイソトープ総合研究センターとの機能統合という形で、現在の筑波大学アイソトープ環境動態研究センターが新設され、その内部組織である環境動態予測部門として位置づけられることとなりました。

主要施設

研究室棟に加え、環境動態予測部門は以下の特徴的な研究施設を有しています。

熱収支・水収支観測圃場

直径160メートルにおよぶ広大な圃場は、自然に近い草地状態が維持されています。この圃場の中心には高さ30メートルの観測鉄塔がそびえ立ち、超音波風速計などの機器を用いて風向、風速、さらには大気と地面の間での運動量（風と地面の摩擦係数）や熱輸送量といった様々な物理量を高精度で連続的に測定しています。ここで集録されたデータは研究棟に送られ、5分間隔で部門の公式ウェブサイトを通じて広く公開されており、陸域における大気境界層過程の研究に貢献しています。

大型水路施設

1978年に建設されたこの大型水路施設は、従来のミニチュア実験装置では物理現象の再現が困難であった河川地形に関する実験を、実物に近いスケールで行うことを目的に、造船会社に依頼して建造されました。長さ160メートル、幅4メートル、重量250トンという巨大な構造を持ち、この施設を用いた実験によって、洪水発生の一因となりうる交互砂州の形成メカニズムなど、重要な知見が数多く得られています。河川を模した実験のほか、必要に応じて海を想定した実験も実施されることがあります。

これらの独特な研究施設群と、地形学、気象学、水文学、生態学といった多角的なアプローチを組み合わせることで、筑波大学アイソトープ環境動態研究センター環境動態予測部門は、陸域環境における複雑な物理・生態プロセスに関する理解を深めるための最先端の研究を推進しています。

アクセス

つくばエクスプレスつくば駅（つくばセンター）の6番バス乗り場から、関東鉄道の[C10]「筑波大学循環」バスに乗車し、「虹の広場」停留所で下車するのが便利です。かつて（2013年8月9日まで）はバス停名が「陸域環境研究センター前」でしたが、現在の部門名は採用されていません。

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