筑波大学理療科教員養成施設

筑波大学理療科教員養成施設

筑波大学理療科教員養成施設（つくばだいがくりりょうかきょういんようせいしせつ）は、茨城県つくば市に本部を置く筑波大学が、東京都文京区に設置している共同教育研究施設の一つです。

この施設は、教育職員免許法に基づき、特別支援学校（視覚障害部門など）において、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうなどの理療科目を指導する専門教員を養成することを目的としています。日本国内で特別支援学校の理療科教員を養成する国立の機関としては、唯一の存在です。

教育課程と修業年限

理療科教員養成課程は、原則として2年間の修業年限が設定されています。この課程を修了することで、特別支援学校の理療科教諭となるための資格取得を目指すことができます。

教員養成課程の他に、1年間の臨床専攻生制度や研究生制度も設けられています。これらの制度は更新が可能ですが、教員免許の取得を直接の目的とするものではありません。

主な履修科目

本施設では、理療科教員として必要な幅広い知識と技能を習得するための多様な科目が用意されています。主な科目は以下の三つの分野に大別されます。

1. 一般科目
教養や基礎的な学問を学ぶ科目群です。倫理学、福祉学、憲法といった社会科学系の科目のほか、推計学、コンピュータの基礎、外国語（英語、ドイツ語、中国語など）が含まれます。視覚障害に関する基礎的なスキルとして、点字やコンピュータの実際的な操作方法についても学びます。

2. 教職科目
教育の専門家としての知識や技能を身につけるための科目群です。教育原理や教育心理学といった教育学の基礎に加え、視覚障害に特化した専門的な科目として、視覚の生理や病理、視覚障害者の心理、視覚障害教育の理論と指導法、そして実践的な指導実習が行われます。理療科目の教育方法論についても深く掘り下げて学びます。

3. 専門科目
理療の専門知識と技術を修得するための科目群です。解剖学や生理学といった人体の構造・機能に関する基礎医学に加え、内科学や整形外科学などの臨床医学も学びます。理療理論、理療実験実習、理療基礎実技を通じて、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの専門的な技術と知識を習得します。また、臨床検査学、東洋医学概論、そして実際の臨床現場を模したポリクリニックや総合臨床実習により、実践的な臨床能力を高めます。

これらの科目を体系的に学ぶことで、理療の専門家であると同時に、それを効果的に教えることのできる教員としての資質を養います。

卒業後の進路

本施設の卒業生の多くは、全国各地の視覚特別支援学校に理療科教員として着任し、後進の育成に携わっています。学校現場で、生徒たちに理療の知識や技術を指導することが主な活動の場となります。

しかし、卒業後の進路はそれだけに限られません。自ら治療院を開業したり、既存の治療院に勤務したりする者もいます。また、その専門知識と経験を活かして、学校や各種研修機関において外部講師や非常勤講師として指導を行うなど、教育現場以外でも幅広く活躍しています。

筑波大学理療科教員養成施設は、視覚障害教育と理療の高度な専門性を兼ね備えた人材を育成し、日本の特別支援教育および理療業界に貢献しています。

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