筒井清忠

筒井清忠

筒井清忠（つつい きよただ）は、1948年大分県大分市生まれの日本の社会学者です。専門は日本近現代史、歴史社会学であり、京都大学教授を経て、現在は帝京大学文学部日本文化学科の教授・文学部長を務めています。また、東京財団上席研究員としても活動しています。

学歴と職歴

1972年に京都大学文学部を卒業後、1977年に同大学大学院文学研究科博士課程を退学されました。1988年には「昭和期日本の構造」の研究で京都大学より文学博士の学位を取得しています。

職歴としては、1978年より中京大学教養部の講師を務めた後、1982年に奈良女子大学文学部助教授、1989年に京都大学文学部助教授、1994年に同大学の教授に就任しました。その後、2004年に帝京平成大学情報学部文化情報学科教授、2005年からは帝京大学文学部日本文化学科教授として教鞭を執っています。

研究内容と業績

筒井教授は、社会学的な視点から日本近現代史を研究しており、特に昭和期の政治、社会、文化に関する著書を多数発表しています。初期の研究では、社会学の古典的な理論を基盤に、日本の社会構造を分析する試みを行いました。その後、研究対象は昭和期の政治史、思想史へと広がり、二・二六事件や軍部、ポピュリズムなどのテーマを深く掘り下げています。

特に、著書『西條八十』では、詩人・西條八十の生涯とその時代背景を詳細に描き出し、2005年に山本七平賞特別賞と日本児童文学学会特別賞、2006年には読売文学賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

また、『昭和期日本の構造』は、筒井教授の代表的な著作の一つで、昭和期の社会構造を分析した歴史社会学の古典的名著として知られています。

主な著書

筒井教授は、多数の著書を発表しており、その多くが社会学、歴史学分野で重要な文献として参照されています。以下に主な著書を挙げます。

『昭和期日本の構造――二・二六事件とその時代』
『現代思想の社会史――社会科学におけるパラダイム転換の方向性』
『石橋湛山　一自由主義政治家の軌跡』
『日本型「教養」の運命――歴史社会学的考察』
『時代劇映画の思想――ノスタルジーのゆくえ』
『西條八十』
『昭和十年代の陸軍と政治――軍部大臣現役武官制の虚像と実像』
『近衛文麿――教養主義的ポピュリストの悲劇』
『帝都復興の時代――関東大震災以後』
『昭和戦前期の政党政治――二大政党制はなぜ挫折したのか』
『満州事変はなぜ起きたのか　日中関係を再検証する』
『陸軍士官学校事件　二・二六事件の原点』
『戦前日本のポピュリズム　日米戦争への道』
『天皇・コロナ・ポピュリズム――昭和史から見る現代日本』
* 『近代日本暗殺史』

これらの著書を通じて、筒井教授は、日本の近現代史における重要な出来事を社会学的視点から分析し、現代社会に対する深い洞察を提供しています。

その他

筒井教授は、テレビ番組「TOKYO MX NEWS」にもコメンテーターとして出演するなど、幅広い活動を展開しています。また、翻訳書や編著も多数あり、学術研究だけでなく、社会への情報発信にも積極的に取り組んでいます。

筒井清忠の研究は、日本の近現代史を理解する上で欠かせない重要な貢献であり、その業績は今後の社会学、歴史学研究において重要な基盤となるでしょう。

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