箱根初詣で

箱根初詣で

松本清張による短編小説『箱根初詣で』は、1979年1月号の『小説新潮』に掲載され、その後『隠花の飾り』という短編集に収録されました。さらに、1986年にはテレビドラマ化もされています。本作は、人間関係や過去の悲劇が絡み合った複雑な物語を描き出しています。

あらすじ

物語の主人公である慶子は、15歳年上の夫・弘吉と共に初詣で箱根神社を訪れます。拝殿での祈願を終えた彼女は、屋台の近くで思わぬ再会を果たします。その相手は、前夫・祐介の同僚の妻である絹江です。この偶然の出会いは、慶子に10年前の忌まわしい記憶を呼び起こさせます。

10年前、慶子の前夫であった直井祐介は、一流商社のエリート社員としてニューヨークでの出張中に亡くなりました。当初、彼の死は交通事故として報じられましたが、慶子は夫の死の真相がただの事故ではないことを知ることになります。

彼女は、近藤志摩夫と河上正志の妻たちと共に現地へ赴き、支店長から夫の死の本当の理由を知らされることになります。この告白は、慶子にとって非常に衝撃的なものでした。彼女は、愛する夫を失った深い悲しみと、それに伴う裏切りの感情に苛まれます。

テレビドラマ化

1986年6月2日、関西テレビ制作の「松本清張サスペンス 隠花の飾り」として放映されました。このドラマは、多くの視聴者の関心を集め、視聴率は11.6%を記録しました。番組内では、緊迫したストーリー展開と心理描写が見事に表現され、原作の持つサスペンス性をうまく引き出しています。

主要キャスト

ドラマ版には、眞野あずさ、戸川純、金田龍之介、伊藤孝雄、赤座美代子、金井大ら、多彩なキャストが出演しました。それぞれの演技が、物語の奥深さを引き立てています。

制作スタッフ

脚本は金子成人が担当し、監督は広瀬襄が手がけました。作品の制作は関西テレビ、松竹、霧企画によって行われました。

『箱根初詣で』は、過去の出来事が現在に影響を与えることをテーマにしたサスペンス作品であり、人生の不可解さや人間関係の複雑性を強く印象付けています。

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