篠原雅尚

篠原 雅尚

篠原 雅尚（しのはら まさなお）氏は、日本の地震学研究を牽引する一人であり、現在、東京大学地震研究所の教授、および防災科学技術研究所の技術統括という要職を務めています。

経歴とキャリア

氏の学術キャリアは、九州大学での学びに始まります。1986年に九州大学理学部を卒業後、同大学大学院理学研究科物理学専攻に進み、1988年に修士課程を修了しました。さらに、千葉大学大学院自然科学研究科環境科学専攻にて博士課程を修了し、1991年に学術博士の学位を取得しています。

学位取得と同年に東京大学大学院理学系研究科地球物理学専攻の研究員としてそのキャリアをスタートさせ、翌1992年には東京大学海洋研究所の助手に就任。海洋地球物理学の分野での研究活動を開始します。1994年には千葉大学理学部の助教授に転じ、教育・研究活動の幅を広げました。1999年には東京大学地震研究所の助教授として、地震学研究の最前線に復帰。そして2010年には同研究所の教授へと昇任し、現在に至ります。2018年からは、防災科学技術研究所の技術統括も兼任（または異動）しており、地震研究のみならず、その成果を防災・減災に活かすための技術開発や戦略策定においても重要な役割を担っています。

学会活動と社会貢献

研究者としての活動と並行して、篠原氏は地震学および関連分野の発展に貢献するための様々な活動に参加しています。2000年には日本地震学会の理事に就任し、学会運営に携わりました。また、国の学術・研究開発に関する施策にも関与しており、2003年には文部科学省研究開発局の学術調査官を務めました。地震予知研究においては、2009年より地震予知連絡会の委員として、地震予知に関する重要な議論に参画。さらに2012年からは地震調査研究推進本部の専門委員として、地震調査研究の企画・推進においても中心的な役割を果たしています。

これらの活動を通じて、篠原氏は研究成果の社会還元や、地震国である日本における防災体制の強化に大きく貢献しています。

研究分野と受賞

篠原氏の研究は、特に地震観測技術や海洋における地震・地球物理現象の解明に焦点を当てていることが、その所属機関や受賞歴から示唆されます。特に海洋調査技術学会からは複数回にわたり技術賞を受賞しており（1998年、2010年、2015年）、これは海洋における高度な観測技術の開発や実用化における氏の貢献が極めて大きいことを物語っています。また、2017年には同会より岩宮賞も受賞しています。

その他にも、2011年には日本海洋工学会JAMSTEC中西賞を、2013年には平成24年度日本地震学会論文賞を受賞し、その研究成果が高く評価されています。国際的な評価も得ており、2017年にはEPS Excellent Paper Award 2016を受賞、2019年にはHonorable Mention for Best Paper in Geophysics in 2018を受賞するなど、国内外でその学術的貢献が広く認められています。

これらの受賞歴は、氏が地震学、特に観測技術開発やデータ解析において、国際的にもトップレベルの研究者であることを明確に示しています。長年にわたり地震のメカニズム解明や予測、そして防災に繋がる研究・技術開発に情熱を注ぎ、多大な功績を挙げている、日本の地震学界を代表する研究者の一人です。

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