地震予知連絡会

地震予知連絡会について

地震予知連絡会は、地震や地殻変動に関する情報を共有し、地震予知に関する専門的な検討と研究を行うことを目的とした組織です。1969年に測地学審議会の建議に基づき発足しました。事務局は国土地理院に置かれ、学識経験者や関係行政機関の職員など、約30名で構成されています。

設立の背景

この組織は、1965年から1969年にかけて発生した松代群発地震の際に設置された「北信地域地殻活動情報連絡会」がモデルとなっています。地震予知の必要性が高まる中、専門家が集まり、情報交換や研究を進めるための組織として設立されました。

活動内容

地震予知連絡会は、年4回の定期会議を開催するほか、必要に応じて随時連絡会を開催しています。定例会は公開されており、事前登録をすれば別室で傍聴することが可能です。会議では、地震や地殻変動に関する最新の情報が共有され、地震予知に関する様々な検討が行われています。

名称に関する議論

2011年3月11日に発生した東日本大震災を予知できなかったことから、2012年11月には組織の役割や名称について検討する作業部会が設置されました。地震予知の困難さが指摘される中、名称の変更も検討されましたが、2014年2月の会合で「名称を変えるよりも、研究の中身を充実させるべき」との結論に至り、現在も「地震予知連絡会」の名称が使用されています。

沿革

地震予知連絡会の前身となる組織の活動を含め、以下のような沿革があります。

1947年：地震予知研究連絡委員会が発足（1949年まで活動）
1960年5月：地震学会春期総会にて、有志による「地震予知計画研究グループ」設置が提案
1962年1月：「地震予知－現状とその推進計画」（通称：ブループリント）策定
1964年：測地学審議会総会で「地震予知研究計画の実現について」の建議案が承認
1965年～：松代群発地震が発生
1968年5月：十勝沖地震が発生
1968年5月24日：地震予知推進のため、関係施設の整備と観測・調査業務の強化を閣議了解
1968年7月16日：測地学審議会の第2次地震予知計画に関する建議により、地震予知連絡会設置が決定
1969年4月：国土地理院に事務局を置く地震予知連絡会が発足
1969年4月24日：第1回会合を開催、萩原尊禮東京大学名誉教授を会長に選出
1969年5月9日：第2回本会議にて、全国の観測データ報告と検討を実施
1969年11月28日：第5回本会議にて、北海道付近の巨大地震の可能性を指摘、1973年4月26日の衆議院科学技術振興対策特別委員会で説明。約2か月後に根室半島沖地震が発生
1975年11月20日：第31回本会議にて、4つの作業部会設置を決定
1977年4月：地震予知推進本部が「東海地域の地震予知体制の整備について」を決定
1977年4月18日：地震予知連絡会の内部組織として「東海地域判定会」発足（後の、地震防災対策強化地域判定会）

構成組織

地震予知連絡会には、以下の機関が参加しています。

国立大学法人など

北海道大学大学院理学研究科付属 地震火山研究観測センター
東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター
東京大学大学院理学系研究科
東京大学地震研究所
東京工業大学大学院理工学研究科、火山流体研究センター
横浜市立大学大学院総合理学研究科
名古屋大学大学院環境学研究科 地震火山・防災研究センター
京都大学大学院理学研究科
京都大学防災研究所
鳥取大学工学部土木工学科地圏環境工学研究室
九州大学大学院理学研究院附属 地震火山観測研究センター（島原観測所）
鹿児島大学大学院理工学研究科附属 南西島弧地震火山観測所
統計数理研究所

国の機関・独立行政法人の機関

防災科学技術研究所
海洋研究開発機構
産業技術総合研究所 地質調査総合センター
海上保安庁 海洋情報部
気象庁
国土地理院

その他

地震予知総合研究振興会東濃地震科学研究所
神奈川県温泉地学研究所

歴代会長・副会長

これまでに、以下の著名な研究者が会長・副会長を務めてきました。

萩原尊禮（1969年4月～1981年3月）
浅田敏（1981年4月～1991年3月）
茂木清夫（1991年4月～2001年3月）
大竹政和（2001年4月～2009年3月）
島崎邦彦（2009年4月～2012年9月）
松澤暢（2012年9月～11月、代理）
平原和朗（2012年11月～）
山岡耕春（2020年現在在任）

脚注

地震予知連絡会 公式ページを参照ください

関連項目

日本における地震対策と体制
地震
地震予知
松代群発地震
東海地震
東海地震に関連する情報

もう一度検索