簡易保険会館

簡易保険会館とは

簡易保険会館は、かつて簡易保険福祉事業団が運営していた、簡易保険加入者向けの福祉施設です。1960年代から、加入者の福利厚生と地域社会への貢献を目的として、全国各地に様々な施設が建設されました。これらの施設は、時代の変化とともにその役割を終え、現在は一部を除き閉鎖されています。

設立の背景

1959年、簡易生命保険法の一部改正により、簡易保険加入者へのサービス向上が求められるようになりました。これを受け、旧郵政省は福祉施設の拡充を計画し、1962年に簡易保険郵便年金福祉事業団法を制定。これにより、郵政大臣が加入者の福祉増進に必要な施設を設置できることとなり、事業団がその運営を担うことになりました。

当時、国民の間では低廉な公共施設の需要が高まっており、簡易保険・郵便年金加入者からも、いつでも利用できる施設の設置を求める声が多数寄せられました。特に都市部では、都市型福祉施設の設置を求める要望が強く、これに応えるため、簡易保険郵便年金会館の建設が進められました。

施設の種類と展開

簡易保険会館は、大きく分けて都市型施設とレクリエーション施設の2種類がありました。

都市型施設
京都会館（かんぽーる京都）: 1973年に開館した京都市内の施設。簡易保険のPRも兼ねており、地域住民にも利用されました。
東京会館（ゆうぽうと）: 1982年に開館した都内最大規模の施設。多目的ホールや健康診断施設を備え、加入者の多様なニーズに応えました。

レクリエーション施設
* 簡易保険東京青少年レクセンター（ゆうぽうと世田谷レクセンター）: 1969年に開設された青少年向けのスポーツ施設。テニスコート、プール、体育館などを備え、地域住民の健康増進に貢献しました。

各施設の詳細

かんぽーる京都

京都市左京区に位置した「かんぽーる京都」は、都市型施設の先駆けとして1973年に開館しました。郵政省から事業団への現物出資により建設され、加入者の利便性向上と地域社会への貢献を目指しました。しかし、施設の老朽化に伴い、2002年に閉鎖されました。跡地には、左京区総合庁舎が建設されています。

ゆうぽうと

「ゆうぽうと」は、東京簡易保険会館の愛称として、1982年に開館しました。建設には約10年を要し、多目的ホール、趣味・教養施設、健康診断施設など、多彩な機能を有していました。運営は、当初事業団が直接行っていましたが、後に日本郵政公社、そして日本郵政へと移管されました。2015年には、施設の老朽化と赤字のため、閉館しました。跡地には、複合商業施設「五反田JPビルディング」が建設され、多目的ホールは品川区の施設として再活用されています。

ゆうぽうと世田谷レクセンター

「ゆうぽうと世田谷レクセンター」は、1969年に開設された青少年向けのレクリエーション施設です。テニスコートやプールなどの屋外施設に加え、体育館やトレーニングルームも備え、地域住民のスポーツ活動を支えました。運営は、セントラルスポーツなどに委託され、ゆうぽうと閉館後も日本郵政が所有し、現在も営業を継続しています。

その他の施設

計画段階で建設中止となった福岡県の簡易保険会館のほか、全国各地に小規模な施設が設置されていました。

簡易保険会館の終焉

1982年度に会館や宿泊施設の新規建設が中止され、その後、時代の変化とともに多くの施設が閉鎖されました。しかし、その一部は形を変え、地域社会に貢献し続けています。

まとめ

簡易保険会館は、簡易保険加入者のための福利厚生施設として、1960年代から1980年代にかけて重要な役割を果たしました。都市型施設やレクリエーション施設は、地域住民の生活や健康増進にも貢献しましたが、時代の変化とともにその役割を終えました。現在では、その多くが姿を消しましたが、その歴史は、日本の福祉施設の変遷を語る上で、重要な一例と言えるでしょう。

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