米・食味分析鑑定コンクール:国際大会

米・食味分析鑑定コンクール：国際大会

「米・食味分析鑑定コンクール：国際大会」（こめ・しょくみぶんせきかんていコンクールこくさいたいかい）は、一般社団法人米・食味鑑定士協会が主催する、新米の品質を評価する国際的なコンクールです。1999年に国内大会として始まり、2008年の第10回からは国際大会へと発展しました。このコンクールは、優れた食味を持つ米を選び出し、生産者の技術向上を促すとともに、消費者の米への関心を高めることを目的としています。国内はもとより海外からも出品があり、米の食味評価における権威ある品評会として位置づけられています。

歴史と規模の変遷

コンクールは1999年に第1回が滋賀県彦根市で開催されたことから始まりました。当初の出品数は372点でしたが、回を重ねるごとにその規模は拡大。特に2008年に国際大会となってからは、出品数が2000点を超え、2016年の熊本県菊池市での開催時には5,710点に達するなど、関心の高まりを見せています。毎年、全国各地の米どころを中心に開催地が移り変わり、その土地の米文化を紹介する機会ともなっています。近年も安定して5000点前後の出品があり、国内外から多数の参加者を集めています。

多様な審査部門

このコンクールの大きな特徴は、その多岐にわたる審査部門にあります。主要な部門としては、国内外からの出品米を総合的に評価する「総合部門（国際）」があります。この部門では、高い基準をクリアした数十点が金賞として選ばれます。

さらに、栽培方法や生産者の属性に焦点を当てた「栽培別部門」が設けられています。これには、アミロース含有量による分類（低・中アミロース部門）や、有機栽培のJAS認証を受けた米を対象とする部門、特定の認定を受けた農業者（認定農業者、若手農業経営者、大型農業法人など）の出品を募る部門、水田の環境評価を重視する「水田環境特A部門」、収穫時期による「早場米部門」などがあります。また、特定の地域が連携して出品する「環境王国認定産地部門」もあり、宮城県七ヶ宿町や山形県真室川町など、米どころとして知られる各地が名を連ねています。

これらの専門的な部門に加え、各都道府県が推薦する米の中から日本一を決める「都道府県代表 お米選手権」、次世代を担う農業高校生が栽培した米を評価する「全国農業高校 お米甲子園」、さらには「小学校部門」といった、地域や教育機関と連携した部門も存在します。これにより、幅広い層の米生産者や関係者がコンクールに参加し、技術や品質を競い合う機会が提供されています。

厳正な審査プロセス

コンクールの審査は、科学的な分析と人間の感覚による官能評価を組み合わせた多段階プロセスで行われます。まず、一次審査では、静岡製機製の食味計と穀粒計といった機器が用いられます。食味計で特定の基準点（一般米は85点以上）をクリアし、穀粒計で整粒歩合が高い（一般米は75%以上）米が選抜されます。ただし、低アミロース米など一部の品種は基準が異なります。二次審査では、東洋ライス製の味度計が使用され、味に関する数値基準を満たしているかが評価されます。

これらの機器分析を通過した米は、最終段階である三次審査へと進みます。ここでは、タイガー魔法瓶製の炊飯器を約40台使用し、専門家による官能審査が行われます。炊きあがった米の香り、つや、粘り、硬さ、そして総合的な食味といった要素が、人の感覚によって厳密に評価されます。この科学的データと専門家の官能評価を組み合わせた審査方法により、客観性と信頼性の高い評価が実現されています。

意義と将来

米・食味分析鑑定コンクール：国際大会は、単に優れた米を表彰するだけでなく、出品者同士の情報交換や技術共有の場としても機能しています。入賞を目指す過程で、生産者は自身の栽培方法を見直し、品質向上への意識を高めます。また、コンクールで評価された米は、その後の販売促進においても有利に働き、地域ブランドの確立にも貢献します。このように、本コンクールは日本の米産業全体の活性化に寄与する重要な役割を果たしています。毎年多くの出品者と関係者を集め、米の品質向上と普及に努めるこのコンクールは、今後も米文化の発展において中心的な役割を担っていくことでしょう。

関連項目

田んぼアート
食品品評会

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