米屋こうじ

写真家、米屋こうじ氏：アジアの鉄路と日本の鉄道遺産を巡る旅

山形県天童市出身のフリーランス写真家、米屋こうじ氏(よねや こうじ、1968年生まれ)は、日本の鉄道写真界において、独特の視点と豊かな経験を持つ人物として知られています。東京工芸大学短期大学部卒業後、広告写真家・安達洋次郎氏のもとで研鑽を積み、鉄道写真家・真島満秀氏のアシスタントを務めた経験は、氏のキャリアの礎となっています。1993年には独立し、フリーランスとして活動をスタートさせました。

氏の作品世界の中心には、鉄道があります。特に、1994年から開始したアジア鉄道の旅は、氏のキャリアにおける重要な転換点となりました。インドシナ半島から東アジアに至る8か国を、特急や急行列車ではなく、あえて鈍行列車を選び、各駅停車でじっくりと旅をしました。この長きに渡る旅の経験は、単なる旅行記にとどまらず、アジアの文化や人々の暮らし、そして鉄道というインフラが織りなす風景を深く理解することにつながっています。その成果は、2003年に富士フォトサロン新人賞を受賞した写真集『I LOVE TRAIN アジア・レイル・ライフ』に結実しました。

米屋氏の作品は、単に鉄道を記録するにとどまりません。風景、人々、そして鉄道が三位一体となって紡ぎだされるストーリーを、氏の繊細な感性と確かな技術で表現しています。その作品からは、旅の感動や発見、そして鉄道に対する深い愛情が伝わってきます。

彼の活動は、アジアを舞台とした作品にとどまりません。日本国内の鉄道遺産にも深い関心を持ち、数多くの作品を発表しています。木造駅舎の風情や、消えゆくローカル線の風景、そして日本の鉄道の歴史を伝える写真や書籍は、多くの人々の共感を呼び、日本の鉄道文化の保存と継承に貢献しています。

著書も多数出版しており、その中には単著として『鉄道遺産シリーズ 木造駅舎の旅』『あなたの知らない大阪「駅」の謎』『なぜ、上野駅に18番線がないのか? あなたの知らない東京「鉄道」の謎』など、鉄道に関する様々なテーマを扱った作品があります。また、斉木実氏との共著も多く、『碓氷峠 ロクサン惜別の旋律』『山陰・山陽 ラストラン国鉄型車両』『残響 走り去った列車たち』など、日本の鉄道の歴史を深く掘り下げた作品も発表しています。これらの作品を通して、氏は鉄道というテーマを多角的に捉え、写真を通して人々に伝えようとしています。

2010年までは「米屋浩二」名義で作品を発表していましたが、現在は「米屋こうじ」名義で活動しています。

米屋こうじ氏の作品は、単なる鉄道写真にとどまらず、日本のそしてアジアの文化や歴史、人々の暮らしを映し出す、貴重な記録となっています。彼の活動は、これからも多くの人々に感動と発見を与え続けることでしょう。

主な著書

単著
『鉄道遺産シリーズ 木造駅舎の旅』(2009年)
『I LOVE TRAIN アジア・レイル・ライフ』(2013年)
『鉄道一族三代記 国鉄マンを見て育った三代目はカメラマン』(2015年)
『あなたの知らない大阪「駅」の謎』(2016年)
『ひとたびてつたび アジア・レイル・ライフ2』(2017年)
『なぜ、上野駅に18番線がないのか? あなたの知らない東京「鉄道」の謎』(2017年)
『鉄道路線誕生秘話 ―日本列島に線路がどんどんできていた頃―』(2020年)
『思いのままに記録する 旅する鉄道写真』(2021年)
共著多数(斉木実氏などとの共著多数)

関連人物

斉木実氏
栗原隆司氏
杉本聖一氏
宮脇俊三氏

外部リンク

鉄道憧憬（本人のブログ）
旧ブログ
* Asian trains 米屋浩二のアジア鉄道旅行

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