米津寺

米津寺（べいしんじ）

米津寺は、東京都東久留米市に存在する臨済宗妙心寺の寺院です。この寺は、江戸時代に遡る深い歴史を有し、米津家の菩提寺として特に重要な位置を占めています。

歴史的背景

米津寺の建立は、慶長8年（1603年）に遡ります。この年に徳川家康が江戸に入府し、その際に三河の家臣団が江戸に移住しました。その中には米津氏も含まれており、彼らは寛文6年（1666年）に一万石の大名に昇進しました。米津家は以前から東久留米市とは密接な関係を持ち、その信仰の拠点として米津寺が建立されました。

米津寺は萬治2年（1659年）に創建され、開山は大愚和尚が務めました。その基礎を築いたのは米津家の二代目、米津田盛です。この寺院は、米津家が唯一の檀家であり、歴代の家族の墓地も設けられています。特に、初代の田政、二代目の田盛、四代目の政矩、六代目の政崇、八代目の政懿の墓はここにあります。

米津家はまた、後北条の流れを汲む浄牧院に対して、徳川幕府から与えられた知行地の監視を担う役割を果たしたとも言われています。そのため、真剣な戒律や信仰が求められていた時代にあって、彼らの存在は非常に重要でした。伝説によると、当時の住職が田政を門外に追い返すなどの出来事もあったようです。

明治22年（1889年）、寺院は火災の影響で楼門以外のほとんどの設備を失いました。しかし、残った楼門は1895年に武蔵国分寺に移設され、その結果、重要有形文化財として認定されています。近年では一般の檀家も受け入れられ、境内の整備が行われています。

境内の見所

米津寺の境内には、様々な歴史的な石造物や文化財が点在しています。

石橋供養塔

供養塔は安永4年（1775年）に建てられ、馬頭観音の姿が刻まれています。この供養塔は元々異なる場所に建てられていましたが、1967年から1968年にかけて道路改修工事のために米津寺に移されました。現在では毎年5月3日に地元の有志によって供養が行われ、この塔は市指定有形文化財としても知られています。

筆子塚

この碑は明治26年（1893年）に建てられ、米津寺の第12世清源和尚への感謝の意を込めて81名の筆子たちによって設立されました。この中には後に旧前沢村の村長となった島崎保平や栗原秀三郎の名前が見られます。また、市内にある最古の筆子塚は、元禄2年（1689年）に建立された十三仏堂に由来していると言われています。

開山大愚和尚の肖像画

承応2年（1653年）に描かれたこの肖像画は、作者は不明ですが、その保存状態が良く、美術的にも価値があります。市指定有形文化財にもなっています。

十六神将図

この絵には徳川家康を中心に、16人の将軍が描かれています。なかには米津忠政の姿もあり、歴史的な価値が高い作品です。

大名墓所

本堂の裏手には米津家の墓所があり、これは多摩地区で唯一の大名墓所として東京都の史跡に指定されています。ここには、歴代の米津家の墓が並んでおり、その形式は特に珍しく、笠付き六角塔身型とされています。歴史的にも貴重な墓所となっています。

米津寺はその歴史や文化的価値により、多くの人々から親しまれ、訪れる価値のある場所です。

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