米津政敏

米津政敏：激動の時代を生き抜いた華族と軍人

米津政敏は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した人物です。大名、華族、そして陸軍軍人としての顔を持ち、激動の時代を生き抜きました。生涯を通じて様々な立場を経験し、日本の近代化に貢献したと言えるでしょう。

出自と藩主時代:

米津政敏は、嘉永4年（1851年）、出羽国長瀞藩4代藩主・米津政明の長男として誕生しました。慶応元年（1865年）、家督を相続し、5代藩主となります。慶応2年（1866年）には従五位下・伊勢守に叙任され、正式に幕臣としての地位を得ました。戊辰戦争では庄内藩に与し、戦乱の渦中に身を置きました。慶応4年（1868年）には、天童藩に陣屋を占拠されるという苦境も経験しています。

版籍奉還と藩庁移転:

明治2年（1869年）の版籍奉還により、長瀞藩知事となりました。しかし、その後は藩庁を移転するという大きな変化がありました。明治2年11月には上総国大網村へ、明治4年2月には常陸国龍ヶ崎村へと、藩庁の所在地を移転しています。これは、明治政府による行政改革の一環として行われたものであり、米津政敏はこうした変化に柔軟に対応していったと言えるでしょう。明治4年（1871年）の廃藩置県により、知藩事を免官となりました。

軍人としてのキャリア:

維新後は、陸軍戸山学校を卒業し、軍人としての道を歩み始めます。明治10年（1877年）には陸軍少尉に任官、その後中尉に昇進し、近衛師団文庫主管などを務めました。軍人としての経験は、彼のその後の人生にも大きな影響を与えたと考えられます。

華族としての地位と政治活動:

明治17年（1884年）には子爵に叙爵され、華族としての地位を得ました。明治22年（1889年）から明治23年（1890年）にかけては、梨本宮家の家令を務め、皇室との繋がりも持ちました。明治23年（1890年）には貴族院議員に当選し、終生その職務に携わりました。貴族院議員としての活動は、彼の政治家としてのキャリアの重要な部分を占めています。

晩年と家族:

米津政敏は、明治28年（1895年）10月30日に45歳で亡くなりました。彼の死は、多くの関係者に惜しまれました。

家族については、父は長瀞藩4代藩主の米津政明、妻は堀田正睦の娘である堀田千勢です。子女には長女の米津鉄子（後に子爵松平直敬夫人、河村隆美夫人）、長男の米津政賢がいます。家令には富田庸全が仕えていました。

栄典と参考文献:

明治28年（1895年）には正四位に叙せられています。

彼の生涯を知る上で重要な参考文献としては、『貴族院要覧（丙）』（昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年）、衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』（大蔵省印刷局、1990年）などが挙げられます。

米津政敏の生涯は、激動の時代を生き抜き、大名から華族、軍人、そして政治家へと転身していった、稀有な存在であったと言えるでしょう。彼の経験は、日本の近代化を理解する上で貴重な資料となります。

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