米田徹 (政治家)

米田徹（よねだ とおる）氏は、1949年（昭和24年）2月26日に新潟県糸魚川市で生まれた日本の政治家です。長年にわたり故郷の市政に深く関わり、糸魚川市議会議員として5期18年、その後、糸魚川市長として5期の長きにわたり市政のかじ取りを担いました。

糸魚川高等学校を卒業後、金沢工業大学工学部土木工学科で学び、1971年（昭和46年）に卒業しました。同年、建設会社である米田組に入社し、社会人としての第一歩を踏み出します。

政治の世界に足を踏み入れたのは1987年（昭和62年）のこと。糸魚川市議会議員選挙に立候補し、初当選を果たしました。以後、連続して当選を重ね、合計5期18年にわたり市議会議員を務めました。この間、2001年（平成13年）からは糸魚川市議会の議長を務めるなど、市議会の重鎮として活躍しました。

2005年（平成17年）3月19日、旧糸魚川市、能生町、青海町が合併し、新たな糸魚川市が誕生しました。これに伴い同年4月24日に行われた糸魚川市長選挙に立候補。旧糸魚川市長経験者を含む他の候補者を制し、初代となる新糸魚川市長に初当選しました。この選挙は、高い投票率の中で行われました。

その後も市長として再選を重ねます。2009年（平成21年）と2013年（平成25年）の市長選挙では、対立候補が現れず無投票での再選となりました。2017年（平成29年）には、元市議会議員を相手に選挙戦を制し、4期目を務めます。さらに、2021年（令和3年）の選挙では新人を退けて5期目の当選を果たしました。このように、米田氏は2005年から2025年までの20年間にわたり、糸魚川市の市政トップとしてリーダーシップを発揮しました。

市政運営においては、地域の特色を生かした振興策に力を入れました。特に、日本有数のヒスイ産地である糸魚川の「石」をテーマにした『石のまちプロジェクト』を推進。2019年（令和元年）にはその発表会を開催し、石の魅力伝承ガイドの育成や関連商品の開発などを通して、官民連携による交流人口の拡大を目指す姿勢を示しました。このプロジェクトについて、米田氏は「糸魚川の強みは石の多様性にある。この価値を全国に発信したい」と語っています。また、世界ジオパークネットワークに加盟している糸魚川ジオパークの活動を重視し、「ジオパーク活動こそが地方創生そのものだ」と述べ、糸魚川静岡構造線が織りなす地形や自然環境を観光資源として活用し、地域経済の活性化につなげることを掲げました。

市長在任中には、個人的な出来事や市政に関わる問題も発生しました。2021年（令和3年）7月には、自身の土地での作業中に骨盤を骨折し、約1ヶ月間の入院と療養を経て公務に復帰しました。また、同年の市長選挙に関連して、副市長が複数の幹部職員に米田氏への投票を依頼したとして公職選挙法違反の疑いで告発されるという事態が起きました。この問題を受け、副市長は辞職しましたが、後に不起訴処分となっています。

長期にわたる市長としての任期も終盤を迎えました。2025年（令和7年）1月20日の定例記者会見で、同年4月に実施される市長選挙への不出馬を正式に表明し、5期での引退を表明しました。そして、同年4月23日に任期満了を迎え、20年にわたる糸魚川市長としての活動を終えました。米田氏の市政運営は、糸魚川市の新設合併後の礎を築き、地域の資源を生かした振興策を推進した点で特筆されます。

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