米谷美久

米谷 美久（まいたに よしひさ）

米谷美久は、1933年1月8日に香川県三豊郡大野原村で生まれました。光学技術者として名を馳せ、オリンパス光学工業の常務を務め、業界に多大な影響を与えた人物です。彼は早稲田大学で機械工学を学び、在学中にはカメラに関する特許を取得するなど、技術的な才能を早くから発揮しました。

彼のキャリアは1956年、オリンパス光学工業への入社から始まりました。入社から数年後の1959年には、コスト重視で質の高いカメラを開発するよう指示されました。これが、日本初のハーフサイズカメラ「オリンパス・ペン」の誕生に繋がります。このカメラは、従来のカメラに比べて価格が抑えられ、それでいて高性能を保つことができたため、圧倒的な人気を博しました。特に、撮影を気軽に行えるという特徴は、多くのユーザーに受け入れられました。

「オリンパス・ペン」はその後、数々の改良を経て、1963年には一眼レフカメラ「オリンパス・ペンF」が登場しました。彼は新しいアイデアを持ち込み、自らデザインにも関与し、商品の魅力を高めることに貢献しました。また、1973年には、小型軽量の一眼レフカメラシステム「オリンパスOMシステム」が開発され、これも大ヒットとなります。このように、米谷は製品開発の現場で常に革新を追求していました。

1980年に発売された「オリンパス・XA2」は、カメラとして初めてグッドデザイン大賞を受賞するなど、デザイン面でも高く評価されました。1984年には取締役に就任し、その後も役員として企業の成長に寄与しました。1992年には常務取締役に昇進し、新たなステージに入ります。また、同年には、米国写真マーケティング協会から、日本人として5人目、技術者としては初の「写真の殿堂」選出という栄誉も受けています。

米谷は1996年から顧問職に就くと、定期的に会社を訪れて技術的なアドバイスを行い、自身の経験と知識を次世代に伝えようとしました。彼の指導はオリンパスにとって、技術革新の一助となるものでした。

しかし、2009年7月30日、彼は呼吸不全によりこの世を去りました。その死は多くの人々に驚きを与え、彼が光学技術の発展に与えた影響は今もなお計り知れません。米谷美久の業績は、オリンパスだけでなく、カメラ業界全体の進化にも大きく寄与しました。彼の革新的なアプローチは、後の技術者にとっても重要な指針となることでしょう。彼の功績を忘れることなく、多くの人がその技術とアイデアを引き継いでいくことを願います。

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